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住宅を決めるときに収納は大きなポイントになります。しかし、時には収納が確保できないということもあります。そんな時にはスペースの確保をすることが必要になります。そのためにトランクルームなどを利用する人は増えています。トランクルームや別宅はスペース確保としては容易ですが、反面予算の問題やすぐに見たい、並べて楽しみたいときには不適です。自宅の中で自分が満足いく収納を確保するには自宅のデッドスペースを見直してみるのはいかがでしょうか。例えば一軒家であれば階段の下や、デッドスペースを上手に利用する方もいらっしゃいます。車庫の中などに作っている方も多いでしょう。お庭や屋根裏などがあるお宅であれば可能ですが、マンションや賃貸などの場合にはリフォームはハードルが高いこともあるようです。
今回は大事なコレクションやお仕事の資料などすぐに手元に欲しいものを収納するために廊下を工夫していらっしゃる事例のご紹介です。
ワンルームマンションの廊下を利用したコミック収納棚
ワンルームマンションの廊下を利用したコミック収納棚の設置例です。ワンルームにお住いの方の収納は時として「プラケース山積み」や本を床に積んでしまうことになり、すっきりとさせるために私物を泣く泣く処分することに。ということもよく耳にします。特に生活や寝室の場に多くの物があふれてしまうことにより見た目や機能性が悪くなり乱雑な印象になることも多く、ベッドの下などのデッドスペースを利用する等になってしまいがちです。今回ご紹介のお客様は文京区のワンルームマンションにお住いの方です。所蔵に多くの書籍やコミックをお持ちです。そのためそれらの収納を廊下に置くことですっきりとした生活スペースを確保されています。
玄関から入り廊下がある一般的なタイプのお部屋ですが、最近では限られた面積の中で部屋を広くするために全体をワンルームにしたり、廊下のない間取りにリノベーションしたりする事例も増えてきたと言われています。しかしながら通路としての廊下にも実は機能的な部分があります。廊下無しで部屋同士が直接つながっている事例に比べて、音や湿気、生活臭などが直接に伝わるのを和らげることができる点は大きなメリットといえるでしょう。例えば回覧板を近所の人が持ってきたとき、訪問販売が来た時などに生活空間を見せることなく対応できるという利点は、昨今の防犯意識からしても大きなメリットです。その一方で住まいの悩みとして挙げられることの多い収納の不足やデッドスペースに感じられる空間としての廊下の問題があります。今回の事例では廊下に造り付けの収納や棚を設け、居住スペースを削らずに収納を増やしています。通常、生活スペースに置く本棚や飾り棚を設置することで収納スペースを作りました。
廊下の幅員(幅)は建築基準法で最低750mmとなっています。これは人が通行するために必要な最低のサイズとされていますがこれはあくまで木造在来工法の柱間寸法910mmから来る数字で実際のワンルームマンションを含めた鉄筋コンクリートの住宅では850mm以上あるのが一般的です。そのサイズを考えると200mm程度の収納棚を置くことで廊下の幅員が使いづらくなるとは考えにくく、更にそこがオープンの棚でありしかも日常的に物の出し入れをしない本棚としての収納棚を考える場合実は非常に適した場所であると言えます。そして一番下の段にはもの置かないことで出し入れの機能を損なわずすっきりとした収納となっています。書籍は連載コミックごとに分けられていますが、なんといっても適度な空間をつくっていますので圧迫感もない構成になりました。コミックを多く収納するだけではなく文庫や新書などを収納しており読書家には見習いたい工夫が満載です。
また、実際にお使いになる家主が使いやすい幅を検討し日常的には使わないオブジェや書籍を収納しました。その中にあってそのリノベーションによって作られたお部屋の雰囲気を損なわずに、奥行180mmの本棚を選択され収納をなるべくそこに集約すべくお使いいただいていることでワンルームではありますが収納を十分に確保できた事例です。
戸建て住宅の2階のアルコーブに
「アルコーブ」とは、廊下や部屋などにある壁の一部をくぼませた部分のことです。語源は英語の「alcove」で、廊下や居室にある「くぼみ」を意味しています。マンションなどでも作りの関係で大きなくぼみがあるお部屋も近年は多いようです。近年はそのくぼみを上手に使う方も多いようです。例えば、在宅ワークが増えたこともありアルコーブをワークスペースに使う人や、就学前の小さなお子さんのお部屋スペースにつかうという方も増えています。アルコーブは三方壁に囲まれた空間になるので集中しやすく、落ち着くという方も増えています。 最近ではマンションの玄関が部屋側にくぼんでいる空間をさすことが多いですが、室内においてもアルコーブは部屋の一部がくぼんでいてそこが部屋の一部ではありながら独立した空間として使えることが出来る、その様なスペースをさすこともあります。
アルコーブはマンションの入口であれば、外部からの視線を遮ることができる点と、玄関扉を開け閉めする際に廊下を歩いている人がいても通行に支障をきたしません。 一定の広さのあるアルコーブの場合には、そこを有効な空間として活用することもできます。
アルコーブとは室内の壁をくぼませて作るスペースだとご紹介しましたが、「マンションアルコーブ」というと少し意味が違うことがあります。マンションアルコーブとは、マンション(区分所有建物)住戸のくぼんでいる玄関前スペースを指すことがほとんどです。この場合、アルコーブは玄関より外にあるため、「屋外アルコーブ」ともよばれており住人以外の人を遠ざけるメリットがあります。
またマンションアルコーブは、間取り図を見ると「玄関ポーチ」と似ているので、違いがわからないという人も多いでしょう。マンションアルコーブと玄関ポーチの違いは、門扉があるかないかです。玄関ポーチとは、それぞれの住戸の玄関にアプローチする際、独立性を高めることを目的に設置されているスペースです。よって、玄関ポーチには門扉がついていて、プライバシーを守ったり防犯性を高めたりできます。小さなお子さんがいる方や、お年寄りで徘徊などの心配がある場合にもこの門扉があるかないかで安心感が違ってきます。
今回ご紹介の事例は都内の戸建て住宅にお住いのお客様です。階段を上がった2階のアルコーブに「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」を設置されています。本棚は前面が階段を通した吹き抜けに面しているため使いやすく開放的な印象です。
家族の本の他に友人からのカードなども飾り、お部屋の印象づくりに一役買っています。こちらのお部屋ではアルコーブは、見せる収納スペースとしても活用されています。本件の様に本棚をアルコーブに造りつければ、実用的に収納できます。アルコーブの壁全面を覆いつくすような書棚も魅力的ですが、この様に幅を狭く背を高くすることでおしゃれな使い方になっています。本件では横幅を3コマとし縦をほぼ天井までという設定で階段を上がって各室に入る踊り場と廊下を兼ねた場所に設置しています。横3コマの真ん中の列には背板を設けここで水平方向の剛性を持たせつつ、それによりブレース板を使わないためその分収納量が増えています。
汗牛充棟の書斎 その2(廊下を利用した壁面本棚)
お仕事柄、書籍が大量にある住居の悩みは書籍の収納です。特に資料書籍は重量があるため簡単に片付かないこともあるでしょう。
今回ご紹介するのは近代史の研究をされているお客様のお住まいです。多くの資料書籍を整理するために書斎、リビング、寝室、廊下に「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」「Shelf ロータイプ本棚」「Shelf 壁一面のコミック本棚 奥行180mm」を導入されています。お仕事柄その膨大な書籍を収めるため室内を有効利用しながら本棚を配し常に書籍が取り出しやすい環境を完成されています。
玄関から続く廊下に置かれているのは「Shelf 壁一面のコミック本棚 奥行180mm」です。この本棚は幅が2,395mmあり、縦9コマ×横7コマが並ぶ大容量の本棚です。
本件では床から天井までのサイズに合わせて調整するために天井の廻り縁をかわす高さまでカットされています。一番下の棚板は床面からわずかに上がり、その隙間に縦の棚板による脚が等間隔に並んで、静謐な律動感を見せています。棚板の背面には巾木の厚みをかわすカットが入っているので壁面に沿わせる形で設置されています。廊下の突き当たりの角を曲がった壁面にも作り付けの本棚があります。こちらはごく浅い本棚で、棚板は縦9段、横3列が並んでいます。室内の本棚にはあまり見かけられなかった、文庫本、新書判などの小型の書籍が、その背表紙を見せてびっしりと並んでいる様子が見て取れます。こちらの廊下に置かれた本棚でも、四隅のブレース材が置かれているセル以外のセルには書籍が充填されています。それでもこの廊下の本棚は、室内の本棚に比べると、全体に抜け感のある、軽みのある外観になっています。
奥行き180mmの本棚は、コミック本によくあるA5判、単行本によくあるB6判、ハードカバーの単行本によくある四六判の書籍などを一列に収納することを想定して並べられています。このためこの廊下の本棚に納められているのは比較的小型の書籍ばかりなので出し入れしやすくなっています。特に玄関から入ってすぐの列には文庫本を並べて本棚の棚板が見えるようにしています。その棚板に光が当たってハイライトになる部分ができており、これが全体の景観に明るい軽みをもたらす効果を演出しています。廊下の曲がり角に近い椅子の置かれたエリアにはA5判の本がびっしりと入り、ここに納められた本には児童書やコミック本もあり、ご家族共通のひときわカラフルな一角が出来上がっています。ただの本棚ではなく、家族の空間になっています。廊下のエリアは、風が抜けるようなすっきりした空間と書籍の積み上がった濃密な空間とのコントラストがとても印象的です。
廊下を利用した壁一面の本棚を利用した本件でのインテリアの色使いは、フローリングは明るいブラウン、壁と天井と巾木が白、と基調に明るさがあり、建具のダークブラウンとコントラストを作っています。また、ここに置かれたマルゲリータの本棚は明るい木材の色です。本棚は大きな家具としての存在感を強く主張するというよりも、明るい色彩で空間に自然に馴染みながらお部屋の雰囲気に溶け込んでいます。
廊下の突き当たりに飾られた2枚の額装の写真は、お子様の幼い姿を写したスナップ写真で、あらゆる壁を埋め尽くすかのような膨大な書籍の物量はお仕事一辺倒に見えますが、実はこのお宅の主役はご家族の温もりであることがこの写真で表現されています。
廊下を有効に使う
都内のマンションで会計事務所を経営されているお客様の事例です。入口から打合せ室に続く廊下に「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」を設置していらっしゃいます。対面には備え付けのキッチンがあり住居感を残しています。
会計事務所の様に必要な書籍、資料等のデータが多い職種では、住居として作られた室内の収納量の不足が問題になりそれらを解決する必要があります。今回の事例では廊下に造り付けの収納や棚を設けました。それにより、事務スペースを削らずに収納を増やすことが可能になりました。一見すると廊下が狭くなってしまいますが、実際はそれほど狭さを感じずに使用することができます。
「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」の最下段には会計全書などの重量のある書籍を置くことで安定感があります。
現在では住居マンションをオフィス使用する方も多くいらっしゃいますが工夫をすることですごしやすい空間を作ることができるという事例です。
廊下を上手に利用してもう一つの収納に
「Shelf 壁一面の本棚」をつかい廊下で収納をしている事例のご紹介をしました。廊下に本棚を置くことで圧迫感があるのではないかと心配する方もいますが、「Shelf 壁一面の本棚」は背板がないため圧迫感がなくデザイン性、機能性に優れた部屋作りが可能です。収納場所やデッドスペースがない場合もあきらめずオフィス、お仕事道具などを収納できるスペース候補として廊下を検討してはいかがでしょうか。
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