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マルゲリータの「Shelf シリーズ」の中に、「Shelf アンダーカウンター本棚」があります。これは、お客さまの要望に合わせて特注した本棚を商品化したものです。
元になった「Shelf カウンター付き本棚」は、本棚の棚板を前方に伸ばして机として利用できるようにした製品です。カウンターの上下にある本棚はそのまま全て活用することを前提に、カウンターの奥行きを450mmに設定しています。机に向かって座ったとき足の邪魔にならないように、でも奥行きが深すぎて資料を取り出しにくくならないようにと折り合いを付けた寸法です。
これに対し、「Shelf アンダーカウンター本棚」では、カウンター付き本棚の机上から上側の部分を取り払いました。机下の収納を確保しつつ、奥行き800mmのフラットな天板が生まれるので、机の上を広く使えるのが特徴です。
本棚やカウンターの高さを腰から下に抑えることで、限られた室内を視覚的に広く見せる効果ももたらします。壁面全体の本棚ほどの収納量は必要ないというケースでは、有用な選択肢になるでしょう。
作業机に800mmの奥行きは不要という方や、本棚だけで良いという方なら、「Shelf ロータイプ本棚」を書斎やワークスペースに利用することも可能です。
ここでは、「Shelf アンダーカウンター本棚」や「Shelf ロータイプ本棚」を用いて心地良い領域を生み出した事例をご紹介します。
1階リビングと2階書斎スペースに導入
「Shelf アンダーカウンター本棚」は、千葉県の閑静な住宅地に立地するこの戸建て住宅で生まれました。「Shelf カウンター付き本棚」のカウンター上にある本棚をなくし、カウンターと下部の本棚だけで構成したデスクがほしい、というご要望がきっかけです。
ここで導入したのは、1階と2階の2カ所です。
1階ではリビングの窓下に、まだ小さなお子さんの勉強机用にと用意しました。横3コマのアンダーカウンター本棚の幅を調整し、横5コマのものと並べて一面の壁にぴったり収めています。本などは全て机の下の棚に収納します。ダイニングテーブルと高さが揃っているため、一体的な使い方も可能です。
小さな子がリビングで勉強する場合のメリットは、家族とのコミュニケーションが取りやすいことです。親の目が届きやすく、また子ども自身に分からないことがあればすぐ親やきょうだいに質問できます。独立した静かな子供部屋より、適度な雑音が聞こえるリビングで学習する方が程良い緊張感と安心感が得られ、学習能率が高まるとも言われているようです。ただし、机上が勉強道具などでちらかり、リビングが乱雑になりやすいというデメリットもあります。
その点、「Shelf アンダーカウンター本棚」は机の下が全て収納になっているので、よほどたくさんの物がある人でなければ乱雑にはなりにくいでしょう。収納する場所があれば、机上に物を置かないという習慣も自然に身に付きます。このご家庭では現在、家族共有の机として利用し、机下には遊び道具や絵本などを収納しています。机上にはPCだけが置かれ、すっきりとした場所になっています。
もう1つの「Shelf アンダーカウンター本棚」は、階段を上がった2階の通路部分に導入しきました。吹き抜けに面したアルコーブをご主人の書斎兼ワークスペースとして利用し、腰壁部分に沿って横7コマのタイプを設置しました。椅子に座ると吹き抜けが目の前に広がる、気持ち良い場所です。背後には既存の本棚が置かれ、程よい大きさの書斎ワークスペースになっています。
リビングに違和感なく溶け込ませる3つの工夫
都内のマンション住戸への導入事例です。リビングダイニングの一画に、「Shelf アンダーカウンター本棚」を設置しました。キッチン側の壁と柱型に挟まれたアルコーブの窓下に、横5コマ分のアンダーカウンター本棚が収まっています。机下に様々なものを収納しているためカウンター上がすっきりとし、リビングダイニングという場に違和感なく溶け込んでいます。
ここでは、乱雑さを防ぎ、使い勝手を高めるために細かい工夫をいくつか施しています。
1つは、カウンターの奥側、壁との境界部分に設けた低い隔て板です。細長く延びた隔て板と壁の間は、文具や本を置くスタンドになっています。さらに、隔て板に丸い穴を3つ設けて、PC関連のケーブルを机下へ回すための通り道にしました。これらの工夫によって机上が整理され、広いカウンターをより有効に使いこなすことができます。
2つめは、特注で製作したボックス形プリンター台です。キャスターを取り付けて、プリンターを使う時は引き出せるように、使用しない時はカウンターの下に収納できるようにしました。ボックス内には書籍類を収め、ボックスの上にプリンターを載せています。これらを左端の机下にぴったり収め、空間を有効利用しています。
3つめは、コンセントへの対応です。柱型部分に設けられた各種配線のコンセントは、「Shelf アンダーカウンター本棚」の脚板と干渉する位置にありました。そこで、脚板を切り抜いて、そのままコンセントを使えるようにしています。
一列に並べた勉強机を3人兄弟で仲良く使う
横浜市の大きなマンションにお住まいのお客様が、8畳の子ども部屋に「Shelf アンダーカウンター本棚」を設置されました。元気な男の子3人兄弟が1つの部屋を共有し、勉強と遊びの場に利用しています。壁沿いにアンダーカウンター本棚を2つ並べ、3つに仕切ってそれぞれのスペースを仲良く使い分けています。
広い机上に「Desktop Organizer ペンスタンド」と「Desktop Organizer ブックスタンド」を置いている以外は、その時使っていない勉強道具や玩具などは全て机下に収納しています。机上面を広く空け、今取り組んでいることに集中できるようにするための工夫です。また、共有できるものはなるべく共有し、兄弟それぞれの違いがあるのは椅子の色くらいです。
こうした使い方をしていると片付けの習慣が自然に身に着くほか、兄弟同士で教えたり相談したりというコミュニケーションが密になります。勉強机をコンパクトに集約し、残りのスペースにも家具を極力置かずにいるため、兄弟や友だちと遊ぶ空間をたっぷり確保できます。
三人兄弟のこの部屋は、L字形に連続するリビングダイニング、寝室の結び目に位置しています。三人兄弟の部屋を家の中心に据えた間取りは、両親が温かく兄弟を見守る姿勢を象徴したものと言えるでしょう。
24mmの板厚で統一感を生み出す
テラスハウスにお住まいのお客様が「Shelf アンダーカウンター本棚」を導入されました。以前から利用している「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」とL字形に組み合わせ、窓のある壁面全面に配しています。
新たに設置した「Shelf アンダーカウンター本棚」は、カウンターの奥行きを本棚と揃えた特注仕様です。縦2コマ分の本棚を右側に横3コマ分、左に横2コマ分並べ、座席になる中央の約3コマ分を空けて作業デスクとしています。机下は、「壁一面の本棚 奥行350専用カセット」の引き出しや無印良品のファイルボックスなどで書類などの雑多なものを整理し、机上は広いワークスペースとして確保しています。座席部分の天板は、L字型の金物で壁側からも支えています。
この書斎のデザインが端正な印象を与えるのには、理由があります。窓に面した作業デスクの天板や棚板の厚さ(見付け)と、既存の壁面収納の下から1、2段目の棚板の厚さをそれぞれ揃えているのです。
壁面収納(Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm)の棚板の厚さは、もともとは15mmで統一されています。一方、「Shelf アンダーカウンター本棚」の板厚は、天板が24mm、机下収納の棚板は15mmです。このままであれば、厚さの異なる作業デスクの天板(24mm)と壁面収納の棚板(15mm)が接して並ぶことになります。
ところがお客様は、壁面収納を導入した当初から窓際に作業デスクを伸ばす計画をお持ちでした。そこで、最初に壁面収納を取り入れた際に、下から2段目の棚板だけあえて24mm厚さに設定しました。その結果、作業デスクを増設した時に、24mmの厚さの板がL字形につながる格好となりました。壁面収納導入時の深慮によって、棚全体に一体感が生まれ、引き締まった空間構成がもたらされました。
ロータイプの本棚を利用したロフト下の書斎スペース
縦2コマの「Shelf ロータイプ本棚」を用いて、書斎スペースを設けた都内のお客さまの事例です。
ロフト付きのワンルーム住戸は、L字形の平面形状を備えています。ロフト下の天井高低い空間に、ほぼ腰の高さに当たる「Shelf ロータイプ本棚」を平行に並べました。突き当たりには、両側の天板に渡すように天然木の集成材を置き、デスクとして利用しています。コンパクトにまとまったコの字形配置の書斎スペースとなりました。
書籍類は全て机下の収納に収めています。カウンター上には額装された大型の写真を立て掛け、デスク上にはMacのモニターを1台載せています。その他いくつかの小物を並べている他は机上には何も置かず、洗練されたデスク周りを生み出しています。
「Shelf ロータイプ本棚」の色みも、インテリアと良い調和を生み出しています。落ち着いたダークブラウンの床に、白色の明るい壁。シナ合板の素材をそのまま生かした色合いの本棚は、くっきりとしたコントラストを描く床と壁の間に入り込み、互いを宥和させています。
ロータイプ本棚の腰壁で囲う
横浜市にお住まいのお客様です。リビングに続く書斎に、「Shelf ロータイプ本棚」を導入しました。コの字形に配した本棚は、窓下部分は高さを抑えた縦2コマとし、その他の壁沿い部分は縦3コマで構成しています。
腰壁のように室内を取り巻くロータイプの本棚を、上手に使い分けているのが特徴です。窓に向かって右側の縦3コマの本棚と窓下の縦2コマの本棚では、最下段に専用カセットの「引き出しファイルボックス 1列」「A4書類引き出し4段」を組み込んで、日用生活雑貨や書類などの「見せない収納」に利用しています。それ以外の本棚のセルは、程良い密度で書籍類が並び「見せる収納」の場となります。
窓下の縦2コマの本棚以外には机上に物を載せず、天板のラインをすっきりと浮かび上がらせています。本棚の上に露出した壁面部分は、額装された絵の背景として機能します。見せない収納を施した本棚の最下段から、見せる収納の上段、絵の背景となる壁面まで、上下壁面まわりの役割を明確に振り分け、室内に秩序をもたらしている様子が分かります。
ここでは、専用アクセサリーの「本棚の中の棚」を多数活用しています。「本棚の中の棚」は、一般的な書籍を前後2列に見えやすく収納できるツールです。奥行きが350mmのセルの場合、単行本に多いB6判や四六判、あるいはA5判の書籍を前後に並べられますが、同じ高さの本を並べると奥の本が見えなくなってしまいます。「本棚の中の棚」を置くと奥側の段が少し高くなり、奥の本の背表紙も読めるようになるため、本棚全体を有効活用できます。
ライフスタイルの変化にもたやすく対応
「腰壁」の考え方を上手に取り入れると、心地良く洗練された室内づくりに結び付けられます。
腰壁とは、人の腰の高さより下側に設置される壁のことです。人の手や足が触れる可能性が高いため、壁の上側とは違う汚れにくい素材などで仕上げ、汚れやキズが付かないようにすることが腰壁を設ける元々の目的です。
ただ、腰壁の果たす役割はそれだけではありません。腰壁に床材と同型色の濃い色、同一の素材を用いることで視覚上の重心が下がり、どこかよりどころになるような安心感をもたらすといった効果が生まれます。腰壁より上の壁を額装された絵の背景として機能させるなど、壁の上下で役割を切り替えて空間にメリハリを与える手法も可能です。
ここで紹介した「Shelf アンダーカウンター本棚」や「Shelf ロータイプ本棚」は、腰壁と同じような役割を果たす什器です。使い方次第で、室内空間に広がりが生まれ、落ち着いた雰囲気をもたらします。必要な収納量に応じて様々な空間のしつらえ方に対応するマルゲリータの幅広いバリエーションに、あなたの求める本棚はあるでしょうか。