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住宅の大きさを示す指標には、面積と「*LDK」という表記が一般的です。面積には実際に使える有効な面積と数値上の乖離がありますが、ここではその差異については割愛します。「*LDK」とは、*が個室の数、LDKがリビング・ダイニング・キッチンの略で、例えば個室が3つあれば3LDK、5つあれば5LDKとなります。この場合、部屋の大きさは問われません。同様に、畳数の表記も誤解を招きやすい点があります。畳数は「畳*枚分の広さ」を意味しますが、畳自体のサイズは一定ではなく、これにより表記上の広さと実際の広さに差が生じることがあります。結果として、狭い空間であっても「*LDK」の*が増えるという妙なレトリックです。
近年の住宅設計は、より多くの小部屋を設ける従来の間取りから、広い一室を優先する傾向へと変わりつつあります。この変化は、多くの日本人に認知されており、そのため「最初は部屋を細かく仕切らず、後から必要に応じて仕切る」という設計思想が自然に生まれています。
居室の中に間仕切りを新たに設置する
既存の住宅の居室の中に間仕切りを新たに設置する際の具体的なケースとして以下のようなケース、および対応が考えられます。
リビングとダイニングの仕切り
リビングとダイニングが一つの大きな空間となっている住宅で、異なる用途のために仕切りを設けたい場合。特に近年はリビング内に家族のワークスペースを設けこれまでのそれぞれの個室を単純に寝室としての機能で使うというケースです。
寝室の一部をワークスペースに仕切る
在宅ワークが必要になり、リビングや寝室の一部を仕事のために使わざるを得ない場合。仕切りを使用し、必要に応じて開放感を保ちつつも仕事スペースを作成。或いはそれとは全く逆で室内の片隅に籠る形。寝室そのものが共有のものか一人で使用するものかによってもその使い方は分かれ、当然間仕切りの形態も大きく異なります。
子供部屋の仕切り
これまで兄弟姉妹が同じ部屋で生活してきたがそれぞれの成長に伴って個室が必要となった場合。
兄弟姉妹が同じ部屋で寝る場合、それぞれのプライバシーを確保するために間仕切りが必要です。兄弟姉妹が異なる趣味や生活リズムを持っている場合、個別の空間を持つことが重要です。
また年齢が異なる兄弟姉妹の場合、適切な遊びや学習スペースの提供が求められます。間仕切りを導入することで、それぞれの年齢に合わせた環境を整えることができます。時折、自分だけのプライベートな空間が欲しいと感じることもあります。間仕切りを使って、自分のスペースや秘密基地を作ることができ、子供の創造性や独立心を促進します。
マルゲリータの本棚を使用した間仕切り
マルゲリータの本棚は背板のない構造のため間仕切りとして活用する場合、プライバシーの確保という観点からは少し外れます。しかしながら、異なる視点からアプローチすると、そのスペースを穏やかに仕切るという見方もできます。具体的には、目線より低い位置のセルに引き出しを配置し、上部を本棚として使うことが考えられます。
一点考慮しなくてはならないのはその間仕切り本棚を天井に固定しなければなりません。壁一面の本棚は基本的には壁面に対して固定するので、それが無い場合は天井に頼る必要があります。即ち天井に本棚上部を固定すべく下地があることが必須です。下地が無い場合はベニヤ等の板材を予め用意してそれを天井の下地に対して固定し、その板材に本棚の上端を固定する必要があります。しかしそれによって得られる効果は「面積」です。
工事を伴わない設置
一般的に小規模の工事であるほど単価は高くつきます。その理由は極めて単純で、この間仕切りを建てる程度の建築工事から見たら小規模の工事であっても職種は一般の工事とほぼ同数のさまざまな業種が必要になってきます。しかも小規模であればあるほど圧縮出来る部分がないため大体はそのままかかってしまいます。きちんとした工事を望めば望むほどその費用は当然嵩みます。
壁一面の本棚を設置するだけ、というのは工事というまでは至りません。あるとしてもせいぜい天井に下地を取り付ける程度です。その意味でも本棚を使った間仕切りはミニマライズされた方法の一つと言えます。
間仕切りで利用する(住宅編)実例
カウンター付本棚による間仕切り
File618 カウンター付き本棚を使ったリビングルームの間仕切り
これまでにお使いいただいていた長方形のリビングルームは、これからは異なる使い方がされることになります。工事を行うわけではなく、カウンターが取り付けられた本棚が中央に配置され、その結果として二つの異なるスペースが生まれました。
File662 間仕切りとしてリビングを仕切る
リビングダイニングエリアは、スケルトンリフォームによって以前の仕切りや天井を撤去し、広々とした一つの大空間となりました。この中に、新たに配置された家族のダイニングエリアは、カウンターが取り付けられた本棚によって仕切られ、家族全員でお使いいただいています。
File346 間仕切りにカウンター付き本棚を使う
この度この部屋を工事では仕切らずカウンター付本棚をその中央に置くことにより二つの部屋とし、お子様の勉強部屋とご夫婦の書斎としてお使いいただいています。その間仕切りとして設置された本棚を両面から使うことによりコンパクトで使い勝手も向上されています。
File539 リビングを本棚で間仕切る
リビングダイニングの一部を、カウンター付き本棚で仕切り、その隣に2つのワークスペースを並べて設けられました。ここはご夫妻の作業エリアとお子さんの勉強スペースとして機能しています。これにより、各々の専用スペースはそれぞれの寝室として活用されています。
壁一面本棚による間仕切り
File623 間仕切りで寝室を使用する
リビング内を本棚によって仕切られたエリアは、布団を敷いていることでベッドルームとして利用されています。その上、小上がり床の床下に収納スペースが設けられ、空間が効果的に有効活用されています。
写真:本棚 SLF 壁一面のA5判本棚 奥行180mm(お客様にて塗装)
File282 両面から使える間仕切り本棚
リビングの入り口に立ち入ると、天井まで届く高い本棚が配置されており、これが部屋を大きく二つに仕切りながら、同時に壁面収納として機能しています。この構成では、表面と裏面を使い分けることなく、無差別に効果的に利用されています。
考察
工事を伴わない施工
壁一面の本棚を室内に設置する際、内装工事は不要です。通常、内装工事が必要となるのは、特定の部分を取り外す(破壊する)か、戻す(復旧させる)必要がある場合です。しかし、壁一面に本棚を設け、それを天井に固定するだけの操作であるため、内装工事は発生しません。これにより、通常の工事費の1/2から1/3の費用で対応可能であり、コスト削減の効果が大きいです。
この手法は、特にクリエイティブな分野で活動する企業において、オフィス環境を創造的で快適な空間に変える手段として注目されています。
将来的な模様替え
壁一面に設置された本棚が何年か経った後に移転や模様替えが必要になった場合でも、建築工事は不要です。本棚の寸法が新しい配置に合致する場合は、単純な移動作業で再設置が可能です。また、もし寸法が合わない場合でも、縦方向であればその部分をカットするか、フィラー板を利用して調整することで、新たな場所で再び壁一面の本棚として活用することができます。この柔軟性は、将来の変化に対応できる便利な特徴となっています。
オプションパーツの利用
専用カセット特に引き出し系を使うとその引き出しを間仕切り壁の両面から使えるという利点の他にその引き出しが目隠しになるので間仕切られた相互の部屋からの視界を遮断する効果もあります。目線の高さのセルにだけ引き出し系を使いそれ以外は通常の本棚として交互に使われている例も多くあります。
実例に関連するプロダクト
またお部屋に合わせてカスタムしたい場合は設置場所の情報、本棚のプランをお問い合わせいただけましたら図面とお見積もりを作成いたします。
詳細はカット・オーダー加工ページをご覧ください。