アメーバ公式トップブロガーの山本瑠実様。この度はその情報発信をする仕事部屋に「Shelf 壁一面のA5判本棚 奥行180mm」を導入いただきました。主にはディスプレイボードとしてご活用いただいており、ご自身で塗装も施されています。
白を基調とした、混じりけのないモノトーンの室内。その中に鮮やかなグリーンの植物が置かれており、白との対比によってその存在がひと一際引き立っています。白い本棚と入口の木製建具だけがこの部屋に設置されており、本棚のグリッドの背景には、部屋のアクセントカラーとなっているクールグレーの壁紙が使われています。この壁紙は床のフローリングとも調和し、独特の情景を醸し出しています。まるでクールグレーの上に白いグリッドラインを引いたかのような視覚効果を生み出し、さらにそのグリッドが形成するセルを塞ぐように白い箱が点在しています。
白一色のディスプレイ棚には、同じく一切の色を持たないオブジェクトが整然と並べられています。これらの無彩色のオブジェクトは、まるで時間が止まったかのような静寂を醸し出し、棚の中で完結しています。白い箱の引手部分には小さなガラス細工のような突起があり、これにより生活感を排除し、まるで撮影スタジオの背景のように見えます。
この空間には、日常の喧騒や雑多な色彩は一切存在しません。そこにあるのは、無垢な白と対比された一抹のグリーン、その絶妙なコントラストが静謐な美しさを際立たせ、室内に特別な雰囲気をもたらしています。
本棚を塗装する
マルゲリータの本棚はシナランバーコア合板で出来ています。縦材、横材に相互に切込みを入れてそれを嵌合する形で組み上げます。その本棚を塗装する場合の手段は二通りあります。
- 部材の段階で塗装する
この塗装プロセスは、塗料の歩留まりがよく、素材全般に対する注意が行き届いているため、塗り残しが少なくなります。さらに、塗装条件が一定であることから、仕上がりが非常に美しくなります。
一方で、嵌合部に塗料が残ると、組み合わせが難しくなります。この状態が続くと、わずかな塗膜の引っ掛かりが原因で嵌合が非常に困難になることがあります。この問題を防ぐために、自然塗料系の薄い塗膜を使用し、嵌合部分の内側(組み合わせ後に見えなくなる箇所)への塗料の付着を極力避ける必要があります。本件の様な木目を消した白い塗料は塗り厚もあるので嵌合部分を丁寧に避けないとかなり困難を極めます。
しかし嵌合の問題を回避しがら慎重に作業を進めると、この様な高品質な仕上がりを確保することができます。 - 組み立てた後に塗装する
組み立てた後に塗装する場合、嵌合には問題ありませんが、塗装作業はすべてコマの内部で行われるため、刷毛での塗装は困難です。また、横板の大部分は上向き(天井面)の塗装となり、その姿勢を維持するのも大変です。その結果、塗料の効率も低下します。さらに、隅部分に塗料が硬化すると、それが仮止めのような状態になり、将来的に解体する際に困難が生じる場合があります。このように、「組み立て後の塗装」には多くの課題がありますが、作業の進行に伴い全体像が見えてくる達成感は、大きなモチベーションとなります。
シナ合板は一般的な木材に比べてヤニが出ないため、シラー処理を必要とせずに直接塗装が可能です。さらに、自然塗料を使用することで、木目を活かした美しい仕上げが実現できます。これにより、塗装工程の効率性と品質が向上し、最終的な製品の美観が高まります。
クールな室内
壁一面の本棚は原則として無塗装であり、そのシナ合板の自然な風合いが住宅の室内に調和します。シナ合板はあくまで天然の木材であり、工業的に加工された塗料を施したものではないため、特に北欧調の家具と組み合わせると、それは控えめでありながらも室内に馴染んだ形になります。また、本棚に多くの書籍や物品が収納されるにつれ、本棚自体は目立たなくなり、そのグリッドラインだけが際立つようになります。
一方で本棚をディスプレイとして使用する方々の中には、展示後も本棚の存在感が大きいため、シナ合板の素地に合わせた室内を構成する方が多いです。それでも、中にはどうしても色を追加したいと考える方もいらっしゃいます。本件もそのような考えで進められたものと思はれます。
壁一面の本棚を塗装することは前述の様に大変な作業です。しかし、その困難を乗り越えた際の達成感は非常に大きく、悩む過程も後から振り返ると、自分が高揚していた時間だったと感じることもあります。本棚が塗装され、特に本件のように周囲の色に同化して、本棚の存在が一瞬分からなくなる状態に近づくにつれ、その室内の完成度が非常に高まるのは言うまでもありません。
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