岡山大学学術研究院教育学域研究室に「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」を導入いただきました。2台連結してお使いいただいています。
原色系の洋書が並ぶ
研究室には、教授のワークデスクのほかに本棚、ミーティングテーブル、ソファが配置されており、シンプルで使いやすいレイアウトになっています。物もコンパクトにまとまっているため、ミーティングテーブル越しに見る本棚の中で、原色系の背表紙がひときわ目立ちます。
彩り豊かな原色系の洋書がシリーズごとに本棚のセルに整然と並ぶ光景は、まるで近未来の予兆を感じさせます。特に、教育関連の学術書が並んでいると、知識の光芒が次代を照らし出すかのような印象を与えます。また、ブックエンドとして置かれた置物、声に出して読む『ファウスト』、サイモン・ラトルのポートレイトが目を引き、この空間に独自のアクセントを加えています。
長押に固定する
本棚は、壁面に予め設置された長押(なげし)に固定されています。長押の位置に合わせて本棚の縦材を切り欠き、L字型金物を使って水平に固定しています。長押自体はしっかりとした下地に固定されているため、本棚の転倒防止にも有効です。
一般的に、居住者が変わることが多い室内の壁面には長押が取り付けられていることがよくあります。長押はもともと日本の和室で見られる造作材ですが、フックを取り付けて洋服や帽子を掛けたり、ハンガーを引っ掛けたりする利用法が昭和の時代から多く見られました。このように、自然発生的に利用されてきた長押が、賃貸住宅や大学の研究室などで「使いやすく、室内を傷めないツール」として定着していきました。この新しい国立大学の研究室でも、必要に応じて家具の固定に長押が活用され、必要がない場合はそのままの状態を維持するという柔軟な選択肢が提供されています。このような自由な環境が心地よさを感じさせます。
研究室自体はまだ新しい空間、最下段には何も置かずに、そのリノリウムの床から爪先立ちをする様に立ち上がる姿はそのコンパクトな研究室のレイアウトと相まって素朴で品のある形を構成しています。
最上段に横帯のように並んだ原色系の書籍の列が、この壁面収納の視覚的な特徴を際立たせています。通常、マルゲリータの本棚では、背表紙が揃った書籍は視覚的な安定感を考慮して下段に配置されることが多いです。これは、書籍に限らず、見せない収納用のボックスなどを配置することで、視覚的なバランスが取れるためです。
しかし、本件では、背表紙が揃った書籍の列を最上段に配置しています。さらに、これらの書籍はトーンを少し落とした心地よい原色系の洋書であり、意外性のある配置が独自の色彩を生み出しています。この配置により、長押で安定している本棚のレイアウトは制限を受けず、視覚的に独特な魅力を放つデザインが実現されています。
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