高さ4mからなる天井の高いコンクリートの打ち放し面で囲まれた室内に,その設計事務所を移転された「西森事務所」様のご紹介です。事務所を主宰されている西森陸雄氏は工学院大学で教鞭をとる傍らご自身の事務所で建築の設計業務をされています。
その空間は入り口から平面的に3層に仕切られていて、手前が打ち合わせスペース、天井までの本棚を介してワークスペース、模型等を作る作業場で構成されています。設計事務所として必要なその3つのスペースを壁で仕切る事なく向こう側が抜ける本棚によって緩やかに間仕切っているところがこの空間の大きな特徴です。
以前の事務所でもお使いいただいていたマルゲリータの本棚を移設、ここでは新たにそれを再利用されています。移設された本棚は「Shelf 壁一面の本棚 奥行き350mm」が2台、それを利用しながらL字型に配置、コーナー役物を挟んで片方はそのまま、もう片方はほぼ吹き抜けに近い天井高さを有する室内の梁下までを上部に更に3段を重ねて見上げる高さの本棚を構成されています。
間仕切りとしての本棚
このL字型の本棚の片方は前述の様に高さ3.3mまで伸びます。しかもそれを間仕切りとしてもお使いいただいています。構造的には下段の本棚はL字型に配置され安定した平面形をとり、その最上部はコンクリートの露出する梁に対して金物で縦材を固定、上部を剛接合、床設置面をピンにする考え方で置かれています。これにより打ち合わせ室と設計のためのワークスペースを柔らかく仕切りながら、更にメッシュの入った背の高いカーテンにより大きな空間を確保しつつ同時に向こう側にも抜ける気持のいい空間を作られています。
天井の高いワークスペース
高い天井のワークスペースは、一見海外の事務所を彷彿させます。その広がりのある空間は、天井が高いだけで空間に広がりを与え、作業をしている間にもその上方に伸びる気配が想像力を喚起させ、異国の空気が漂う室内は、日常の枠を超えて広がる可能性を潜め、仕事の中で新たなアプローチを見つけ出す手がかりとなります。これは言い換えれば日本のそれが置かれている空間の狭さ、天井の低さにも起因します。海外に於いては当たり前の様なこの空間に特異性を感じるのはそういった背景からかも知れません。
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