この度大学を定年退官されたお客様、その大学研究室に今まで置かれていた膨大な蔵書を自宅に引き取られ、まるで図書館の様な書斎を作られています。
大容量の本棚
このお客様は長年にわたり大学で教鞭をとられてきました。退官後、膨大な蔵書を整理するためにご自宅の近くに新たな場所を借り、図書館のように大容量の本棚を設置して多くの書物を収納されています。もともと自宅には多くの書籍を所有していましたが、それらはそのままで、新たにこのようなスペースを作り出しました。本棚を整然と並べ、本のジャンルやテーマごとに分類し、快適な読書環境を整えるために、大きな窓から自然光を取り入れています。さらに、ゆったりと寛げる椅子やテーブルを中央に配置し、読書を楽しむための理想的な空間を作り上げました。このスペースは、書籍の保管と整理に加え、心地よい読書環境を提供し、退官後の生活を豊かにしています。
図書室
この図書室を構成するにあたり、一見既製品に見えるマルゲリータの大容量本棚は、実際にはすべてオーダーメイドでその高さが調整されています。これは、全体の書籍のうち大型サイズの本を優先的に最下段にまとめ、その他の書籍をテーマ別に上段に配置するという全体を見通した構成です。特に洋書は、一般的な日本の文庫本や新書に比べてサイズが大きく、ページ数も多いため、予定されている書籍が本棚に収まるかどうかの検討が必要です。
本件では、お客様が本のサイズを明確に分類し、それに合った形で本棚を計画しました。その結果、一見同じ高さで積み重なっているように見える本棚も、実際には詳細に検討されたオーダーメイドの結果です。このようにして、書籍全体の収納とテーマごとの整理が効率的に行える本棚が実現しました。
洋書で構成される壁面収納
洋書、特に古い学術書は、この様に一同に並べられると、その背表紙の色はセピア色から赤褐色に近い黒色までモザイク状に散らばり、全体として積み上げられたかの様な構成になります。距離を取って俯瞰すると、その濃い色合いの洋書は本の装丁としてはほぼ現代のA4サイズに揃っているため、並べても統一感があり一定の塊に見えてきます。
更にその濃い色合いの塊が壁面収納全体を通して均一なグリッドで仕切られています。これは本来目的としたものとは異なりますが、獏とした空間、塊を均一なグリッドにより網目を掛けることで空間そのものがあたかも静止して見えるという手法、グリッドユニフォーム(grid uniformed)、に近いものがあります。すなわち動きが感じられるものに均一のグリッドを被せる事でそのもの自体が止まっているかに見せる手法、それはこれまでぼんやりと存在していた洋書を格子の中に収めることでその存在を別の見方で確立させているとも言えます。
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