埼玉県のマンションにお住いのお客様です。お住いを全面リフォームされ、グレー色の石調大判タイルによる床と全て白で構成された上部壁面、天井、建具がストイックな印象を醸し出します。
土間の玄関から入るとそこはご主人の書斎があり空間的にそこから真っ直ぐリビングに繋がります。書斎も壁と同色で作りつけられたデスクが置かれているだけのシンプルな構成、収納関連は全て隠蔽されるストイックな造作です。
その書斎の中央に「BLC 収納ボックス」で構成されたアイランド状の塊があります。「BLC-08(LPレコード収納ボックス)」、「BLC-04(小物収納ボックス)」を背中合わせに配置、そのユニットを3つ連続させて上部を天板(BLC-24-TPをカスタマイズ)で押さえた形です。
一定のモジュールに基づいて展開される約90種類のユニット(単体収納ボックス)で構成されるB.L.C.は、単体としての利用はもちろん、異なる種類の収納ボックスを並べたり積み重ねたりすることで、多様で独自の使い方ができるようにデザインされています。収納したい物や量、スペース、使い勝手に応じて自由に組み合わせることで、オリジナルの収納家具を作ることが可能です。
収納ボックスの上面と下面には半球状のくぼみがあり、付属のビー玉を介して上下を固定する仕組みになっています。これにより、ボックスを置いて積み重ねるだけでしっかりと固定されるため、ネジやボルト、工具を一切使用する必要がありません。このシンプルなデザインにより、簡単にカスタマイズ可能な収納システムを実現しています。
モデュール
「BLC 収納ボックス」は、厳密なモジュールに支配されています。このモジュールにより、収納ボックスを自由に積み重ねたり、配置を変更したりすることができます。「BLC 収納ボックス」のモジュールは、2つのアプローチから成り立っています。
まず1つ目は、ボックスのボリュームです。「BLC-01」を最小ユニットとして、最大ユニットである「BLC-12」まで展開されています。「BLC-12」は「BLC-01」の12倍のボリュームを持ち、その間のユニットもすべてボリュームのサイズに基づいて番号が付けられています。
2つ目は、正面から見た際の平面的な配置です。各ユニットの上下面には半球状のくぼみが一定の間隔で配置されており、このくぼみに従ってユニットを組み合わせることで、空隙を含めたさまざまな構成が可能になります。
このように、「BLC 収納ボックス」は生活スタイルに合わせて増殖や転用が容易にできる形をとります。引越しや模様替えの際にも、ユニットを運び、新しい場所で再構築することができるため、自分のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。
目地
BLCのもう一つの大きな特徴は、その目地です。目地はボックスとボックスの間に設けられる縦方向および横方向の隙間のことで、どちらも同じサイズ(4mm)に設定されています。縦方向の目地は、ビー玉を使ってセットされており、ビー玉の部分を引いた残りが目地の幅となります。
最上段の天板の裏面に設置されたビー玉を受ける窪みが、下部のボックスの平面的な配置を支配しているため、横方向も正確な目地のサイズが保たれています。建築における煉瓦やタイルの規格と同様に、このBLCでも目地幅の中心を基点にした仮想サイズからボックスのサイズが決められているため、さまざまな組み合わせや新しいボックスのサイズも自動的に決められていきます。
本件では、ボックス自体が壁際ではなく部屋の中央に配置されているため、縦横の目地の存在が際立ち、その目地を通して見える向こう側の景色が正確に反映され、独自の存在感を生み出しています。
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