戸建て住宅の玄関から続く土間のスペースに「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」を設置いただきました。
土間は伝統的な日本の住宅に於ける建築スタイルで古くからある形です。主に水回りを中心としたスペースをその土間のレベルとして捉え、炊事場(キッチン)もそのレベルに置かれ外部とは同じ高さで繋がります。一方居室はそこから45cmほど上がった位置にあり土間とは大きく区分けされています。しかし、床レベルは異なれど空間としては一体となっているのがこのスタイルの大きな特徴です。近年では新しい感覚で土間を取り入れたデザインが多く見受けられます。本件も形としては土間を取り入れていますが機能的にはその伝統的なスタイルとは一線を画し、新しいスタイルとしてのプランを確立されています。伝統的なスタイルとの共通点は住宅の玄関と一続きになっているという点のみでそれ以外は全て住まい手の生活を形成する上での新たな試みと言えます。
住宅内動線の分岐点
玄関からこの土間を上がると右手が水回りのスペース、階段を上がると2階のそこはリビングスペースです。階段はこの様に段板だけが連続する軽快なデザインで空間を切り取りながらもその存在感を抑え、その土間を見下ろしながら、また土間に対しても陽光を極力遮らず軽やかな印象を与えています。一方その土間を直進するとそこは広い書斎、明るい読書空間に繋がります。その分岐点としての土間のアルコーブに「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」を設置いただきました。ここで読みたい本をピックアップ、書斎に運びそこで読書、しかも床は玄関から繋がる土間のレベルです。もちろん書斎だけでなく来客の対応も靴を脱がずにそのままお通しすることも出来、プライベートゾーンから隔てながらも気持ちのいいおもてなしの空間になります。
多目的なスペースとして
本件の土間は綺麗に片付き現在のところ殆ど何も置かれていません。しかしここは通路やエントランスとして考えるのではなく、多目的なスペースとして活用されています。玄関とそのまま連続しているのでバイクなどの屋外用ツールを置いたり、くつろぎやすいスペースや家族や友人との交流の場としてもお使いいただくことは今後可能になってきます。
ここの土間はモルタル金鏝で綺麗な平滑面を作り防塵塗装が施されています。ストイックな構成でありながら本棚を含めた周囲の壁面が僅かに反射する綺麗な仕上がり、丁寧な施工の様子が伺えます。
お客様はこの住宅を新築するにあたりこの土間のスペースを5コマのマルゲリータの本棚のサイズにあわせるべくその幅と奥行きを本棚から逆算されて計画されたとのこと、大変有難いお話です。
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