都内の戸建て住宅にお住いのお客様です。その吹き抜けに面した2階のアルコーブに「Shelf 開口部のある本棚」に一部カウンター仕様を加えたもの、および家事室に「Shelf カウンター付き本棚」を設置いただきました。
吹き抜けを見下ろす書斎
1階のリビングダイニングは、中央部が広々とした吹き抜けになっており、開放的な階段を通じて2階へと続いています。この階段の手摺は、2階部分で自然に回り込み、吹き抜けと一体化して大きな空間を形作っています。2階のスペースからは、下のリビングダイニングを見下ろすことができ、視覚的にも非常に開放感があります。この場所は、ご主人の書斎として利用されており、長年愛用している机が置かれています。
その机の隣には、「Shelf 開口部のある本棚」にカウンター仕様を加えた新しいものが設置され、さらに機能的な空間となっています。新旧二つのデスクを並べ、それぞれにPCを置き、書籍はすべて「Shelf 開口部のある本棚」に集約されています。コンパクトながらもきれいに使い分けられており、整理整頓された印象です。また、本棚の板材を挟むようにさまざまな収納小物も配置されており、見た目にも楽しい雰囲気を醸し出しています。この配置により、書斎としての用途とリビングダイニングとの一体感が両立された構成が魅力的です。
「Shelf 開口部のある本棚」に一部カウンター仕様を加えたもの、すなわちカウンター付きの本棚に開口部を設けた作りです。ここではさらにカウンターを短くし、本棚のセル3コマ分にすることで、部屋の入り隅部分を使いやすくしています。
一方で奥様の書斎は家事室の一面にあります。
水回りに通じる通り抜け部分を有効に使い、その部屋のサイズに合わせてここでも「Shelf カウンター付き本棚」に3コマ分の開口部を設けPCを置き、書籍およびファイル等を収納されています。
水回りに続く家事室をワークスペースに
この場所では、壁面を最大限に利用し、本棚の幅を一部調整してカウンター付きの本棚が設置されています。カウンターに面した部分は開口部として切り取られ、そこにPCが配置されています。家事室の通路部分は妨げられることなく、そのまま通れるようにしつつ、アルコーブとしての壁面を十分に活用しています。
家事室にPCを置き、そこをワークスペースとするのは非常に珍しいケースです。しかし、家事全体を統括する場所にワークスペースを設けるのは理にかなっており、水回りの機能を損なうことなく、むしろ使いやすさが向上しているこの配置は、非常にうまくまとまった計画です。
フットワークの軽い書斎
両方のスペースに共通しているのは、この住まいの中で「部屋」として壁で仕切られた空間ではなく、吹き抜けに面した開放的な空間や、通り抜けができる家事室といった、書斎としての軽快さがあることです。
一般的に書斎とは、世帯主である夫や父親が専有できる独立した部屋、つまり「男の隠れ家」を指します。そこでは趣味や仕事に没頭できる場所とされています。しかし、ここでは隠れ家的な要素はなく、むしろオープンで、読書や仕事に集中するというよりも、必要に応じてスムーズに物事を進められる軽やかな印象があります。
このように書斎は、必ずしも独立した部屋である必要はなく、本棚などで領域が仕切られたスペースであれば十分に機能します。独立した部屋ではありませんが、リビングや廊下、階段の一角に設けられた、世帯主が専有できる小さな空間です。独立した部屋にこもるよりも、家族の目に入りながら自分の領域を発揮できる、効果的なスペースとなります。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
SERIES09
書斎
このシリーズではマルゲリータの家具を使用した書斎の考え方、レイアウトなどを実例をもとに紹介しています
