日本大学歯学部の研究室に「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」を導入いただきました。
研究室を兼ねた教授室とそこに隣接する打合せ室です。研究室は横に細長い平面形をとりその横一列に「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」が一部開口部を設けながら連続しています。ここで特筆すべきは、その一列に並んだ本棚のほぼ中央の開口部にもともとお持ちのライティングビューローを据えている点です。
壁面収納はライティングビューローを囲むように設置されており、5コマ分のスペースを飛ばして上部にも棚が配置されています。収納スペースが最大限に活用されているだけでなく、上部の荷重を支えるために、桁の本数を通常よりも増やし、両側の側板を厚くして鉛直荷重をしっかりと受け止める構造になっています。
もともとあったトラディショナルな英国調の重厚な造りと無駄な装飾の一切ない簡素な壁面収納が対峙します。
ライティングビューロー
ライティングビューローは、机と戸棚・書棚が組みになっている書き物机です。一般には棚の扉部分を引き出して机の天板として使用する仕組みです。通常は本棚として使用でき、使う時だけ天板を引き延ばした状態で机として使用できるため、スペースがあまり取れない部屋でも設置しやすい点がメリット。大きめのものから、小さめのものまでさまざまです。
もともとは収納が目的だった家具に、書き物するスペースが付いた「セクレタリー」と呼ばれる家具でしたが、18世紀に入って、書くスペースの下に引き出しなどの収納がついた、今のビューローの形が出来上がりました。見た目は、引き出しや扉が付いた収納家具にしか見えませんが、大きな扉を手前に扉を倒すと、扉部分がデスクに早変わりする家具がビューローです。
古くは英国の書斎に置かれた重厚な家具で、普段はその机上面となる天板は跳ね上げて閉じ重厚な塊となります。使用時には、その天板を倒した状態で主に書斎などで使われています。机の奥の方は細かい仕切りの付いた収納にもなり、やりかけの仕事は読書の途中の本などを置いたまま閉めることが出来るので、作業を一時的にフリーズさせて蓋が閉められます。連続した作業がやりかけのまま放置されると、特に他人の目からはあまり見栄えの良いものではありませんが、このライティングビューローの机を閉じることにより、そこでは何もなかったかの様な姿になります。そして再び蓋を開けると中断されていた仕事が、まるでポーズを解除したかの様に再開させることが出来ます。
ライティングビューローは、こうした機能を持ったコンパクトな書斎用の家具として長く愛されてきましたが、そのあまりの重厚さ故最近ではあまり見かけませんでした。
日大歯学部の教授室に置かれていたこの古いライティングビューローは、そうした意味で長い間愛され使われてきた家具で、現代では少し時代の流れから乖離しつつある感もあります。しかしやはり長く手元に置いておきたい風情のある家具です。
本件ではその長い壁面を覆いつくす本棚のほぼ中央にまるで囲い込むように置かれ、5コマ分のセルを跨ぐ開口部には、3重の桁を渡しその姿を保持します。トラディショナルな英国調の重厚なライティングビューローの機能を損なわず、同時に大量び壁面収納を可能にした構成がここに実現できました。
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壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
SERIES18
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