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2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」 Shelf 壁一面の本棚

2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」 – Shelf 壁一面の本棚 – マルゲリータ使用事例

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東京で都市計画コンサルタントとしてのサラリーマン生活を勤め上げ、その間の通勤に往復3時間を要し、その膨大な時間に比例する膨大な読書量を積み上げてきたお客さんです。小説、ビジネス書、建築・土木関係書、あるいは漫画などさまざまなジャンルの本、ここではその副産物として残った書籍を一同に並べた私設図書館、「じゃじゃの私設図書館」のご紹介です。

2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」
じゃじゃの私設図書館

約2年前、私設図書館の開業時にマルゲリータの本棚「壁一面のA5版本棚 奥行180mm」を大量にご購入いただいた際にもお邪魔しました。60歳を機に浜松に帰郷され、生まれ育った浜松に貢献したいという思いから、私設図書館を開くことを決意されたと伺いました。亡くなられたご両親の住んでいた家が空き家になっていたため、住宅兼店舗に建て替え、図書館をオープンされたそうです。金曜、土曜、日曜の週3日間営業で、小説、ビジネス書、漫画など約3300冊を並べる図書館です。私たちの本棚を什器として採用していただき、大変感謝しております。その時の様子は、私たちの方で紹介させていただいています。

オーナーの大場雅仁さんの地元浜松に還元したいという気持ちを実現された私設図書館を、再度訪問させていただきました。約2年が経過したその後の利用状況や、2階にある大場さんの個人的な書斎の様子を、2回に分けて紹介していきます。

じゃじゃの私設図書館

実際に利用者を交えて運営を開始してから、ほぼ2年が経とうとしています。図書館に限らず、公共施設や商業施設は時代とともに消費され、変化していきます。その中で、時代に流されることなく持続可能な普遍性を持たせること、そして長く使われ続けることが本質です。その意味では、まだ運営開始から間もないですが、基本的な建築計画がしっかりしているため、使い方に破綻が来ない心地よい空間を提供できていると思います。

こうした持続可能なデザインと計画により、図書館は利用者にとって快適で機能的な場所となっています。初期の計画段階からしっかりと考慮された設計が、現在の運営においても順調に機能していることが確認できました。施設が長く使われるためには、構造の堅牢さだけでなく、利用者のニーズに対応できる柔軟性も重要です。

この図書館が、今後も地域社会に貢献し続け、利用者にとって魅力的な場所であり続けることを期待しています。建築計画の成功と、それに基づく適切な運営が、この図書館の将来を支える大きな要素となるでしょう。

2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」

この建物の1階の天井は、天井までのアルミサッシを通して外部の軒天井に繋がっています。少々専門的な話になりますが、都市部では外部の軒天を木材で作ることが法律的に難しいため、木材に見える不燃材料、すなわち「偽物」を使うのが一般的です。しかし、ここで使用されている材料は天然木、「本物」です。これにより実現したかったのは、外部と一体化することによる以下の効果です。

  • オープンな館内の演出
  • そこに誘い込まれるような外部の意匠

この結果、オープンで誘われるような館内に本棚が美しく配置され、天井まで届くような本棚があるという景色が出来上がっています。同時に、館内に居ながらも外部に対して自然に連続していく感覚や、抜ける感じが、戸外の景色と相まって心地よく感じられます。

館内の読書空間、半屋外のペットも連れてこれるテラス席、自転車置き場、そして庭、更に借景となる遠景が、水平に連続する天井面を通して自然に繋がっています。これにより、利用者は一体感のある空間で快適に過ごすことができます。天井から外部へと続く視線の流れが、空間全体を広く感じさせ、居心地の良さを生み出します。このように、細部にまでこだわった設計が、建物の内外を一体化させ、利用者にとって魅力的な環境を提供しています。

2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」外から続く天井
2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」外から続く天井
2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」壁一面の本棚

公共施設である図書館の本棚は、一般的に人の身長に合わせて設置され、普通に手を伸ばせば届く範囲に収められています。しかし、この私設図書館の本棚は天井近くまで2400mmの高さがあります。これは特に子供にとっては手が届かない範囲ですが、踏み台を使用することで十分にアクセス可能です。公共施設ではなかなか実現しにくい手法です。しかしそれによって本棚の収納力が最大限に活用され、より多くの書籍を効率的に収めることができます。天井近くまで高さを持つ本棚は、視覚的にも壮観で、図書館全体に迫力と一体感を与えます。また、利用者が踏み台を使用して高い位置の本に手を伸ばすことで、図書館利用の一つの楽しみやアクティビティとしても機能します。

このデザインは、私設図書館ならではの柔軟性を生かしています。公共施設では安全面や利用者の多様性を考慮して実現しにくい高さの本棚を、私設図書館ならではの自由な発想で取り入れることができました。結果として、限られたスペースを有効活用し、豊富な蔵書を収容することが可能となりました。このように、私設図書館の本棚は、利用者の利便性とデザイン性を両立させるための工夫が随所に見られます。利用者が自分のペースで本を探し、選び出す楽しさを提供する空間として、今後も多くの人々に愛され続けることが期待されます。

2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」壁一面の本棚
2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」
2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」

この私設図書館では、ドリンク類や軽食のサービスも提供しており、落ち着いた雰囲気の中でコーヒーを楽しみながら読書をすることができます。一見すると蔦屋書店に似ているように見えますが、喧噪が無い分、より静かで落ち着いた空間を提供しているのが特徴です。この図書館のキャッチコピー「いつものあの場所で本を読もう」が、その雰囲気をよく表しています。

ドリンクや軽食を提供することで、利用者はリラックスした時間を過ごしながら、ゆっくりと本に没頭することができます。この環境は、読書をより一層楽しむための理想的なスペースを提供しています。また、静かな環境が保たれているため、集中して読書や学習を行うことができます。

2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」
2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」 – Shelf 壁一面の本棚 – マルゲリータ使用事例

本棚の背面の壁は白で統一されています。この内部空間の色彩は、内外一体化した天井と、垂直にそれを支えるダークブラウンのアルミサッシ、そしてその白い壁を埋めるように配置された本棚で構成されています。館内の天井高は2600mmで、面積的にもその天井高はよく考えられた構成です。

もう一点、この図書館の特色は、閲覧机に設置された本棚です。閲覧机に座った時、お互いの視線を遮るように配置された本棚があり、これにより読書中のプライバシーが確保され、落ち着いて本を読むことができます。同時に、閲覧テーブルの背後が天井までの本棚で柔らかく囲まれていることで、独特の安心感と包まれたような空間が生まれています。

これにより、図書館全体が落ち着いた雰囲気を持ち、利用者が心地よく読書や学習に集中できる環境が提供されています。白い壁とダークブラウンのアルミサッシのコントラストが、空間に視覚的な広がりと深みを与え、天井高も計算された構成となっているため、圧迫感なく開放的な空間が実現されています。

2年ぶりの再訪問「じゃじゃの私設図書館」 – Shelf 壁一面の本棚 – マルゲリータ使用事例

この私設図書館では、お薦めの本と映画を紹介しています。これらは「オススメBOOKS&MOVIES」という書籍としても販売されています。ある人が薦める本や映画に触れることは、その人の持つ物語や小宇宙に触れる一つの手段と言えます。特定の分野に特化していなくても、その人がその本や映画を選んだ理由、そしてそれを薦めている理由を知ることで、さらにその物語に興味を持つことができます。

またこの図書館では、お薦めの本と映画を通じて、利用者が新たな視点や興味を発見できるような環境を提供しています。それぞれの本や映画には、それを薦めた人の個性や価値観が反映されており、読者や視聴者がその背後にある物語を感じ取ることができます。これにより、単に本や映画を楽しむだけでなく、推薦者の視点を通して新たな発見や感動を得ることができます。

こういった取り組みは、図書館が単なる情報の提供場所であることを超え、利用者同士のつながりやコミュニケーションを促進する場となることを目指しています。


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