大阪市の戸建て住宅にお住いのお客様です。ダイニングに「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」を導入いただきました。
逆光を生かしたオブジェクト
奥様がインテリアコーディネートのお仕事をされていることもあって、壁面収納に対する収納方法、オブジェクトの置き方の随所に工夫が見られます。
マルゲリータの本棚は背板がないデザインのため、背後の壁面や窓が見える仕様となっています。この特徴を活かし、背面に窓がある棚の上部には逆光に映えるオブジェクトや観葉植物を配置し、視覚的なアクセントを加えています。一方、下部の背面が通常の壁である部分には、主に仕事で使用する書籍を収納し、実用的な本棚として機能させています。特に、上部2段の使い方は一見さりげないものの、部屋全体の印象を大きく左右する重要な要素となっています。
このような配置は、空間の美しさと機能性を両立させるための優れた方法であり、インテリアコーディネーターとしての視点が随所に反映されています。結果として、見た目にも美しく、使いやすい壁面収納が実現されており、クライアントにとっても高い満足度を提供できるレイアウトとなっています。
室内の窓は水平方向に細長く平行に2段設置されています。最上段の棚板は、この2つの窓に挟まれた細い壁部分に位置し、オブジェクトの背後が壁となっています。ここには小さめの観葉植物が配置され、その枝葉が上方に伸びることで、上段の窓からの逆光を受けて美しいシルエットが映し出されます。その下の段は、背面がほぼ開口部となっており、ガラス系の小物を中心にアレンジされています。光を通す小さなオブジェクトが窓からの光を受け、観葉植物や室内に点在する鉢植えの植物と相まって、心地よい雰囲気を作り出しています。
このような配置は、窓からの自然光を最大限に活用し、視覚的な魅力と機能性を両立させるための工夫が凝らされています。観葉植物とガラスオブジェクトの組み合わせが、空間にリズムと調和をもたらし、洗練されたインテリアデザインを実現しています。インテリアコーディネートの専門知識が反映されたこのレイアウトは、快適で美しい空間を提供し、居住者にとっても高い満足度をもたらします。
リビングとダイニングはダークグレイの壁で仕切られています。この壁は戸建住宅の構造上必要な壁量を確保するために設けられていますが、周囲とは異なる濃いめの色があえて施されています。さらに、天井面と壁面との接合部には目透かし目地が施されており、壁の存在を軽やかに見せる工夫がされています。ダークグレイの壁は単なる仕切りとしての役割だけでなく、空間にアクセントを加え、視覚的な深みを与える要素となっています。色のコントラストと目透かし目地のディテールが、壁の重厚感を和らげ、全体的なインテリアのバランスを保っています。
背面の窓から差し込む陽光を受け、それを透過させながら呼応する観葉植物の葉や枝の広がりを背景に、食卓の上にはルイスポールセンのペンダント照明が低い位置までおろされ、天井からの距離を取っています。このポールセンのPH5は、照射面にグラデーションを作り、光源が直接目に入らないという点が強調されていますが、それ以上に、天井面を照らさず、ペンダントの位置から下をぼんやりと明るくするという特徴があります。これにより、天井面は室内の反射光のみで薄暗くなり、うっすらとした陰影が生まれます。
このデザインの効果は、照明の位置が低いほど顕著に現れ、独特のトラディショナルな空間を作り出します。ペンダント照明の柔らかな光が食卓を中心に広がり、部屋全体に温かみのある雰囲気をもたらします。天井が薄暗く保たれることで、視覚的な高さが強調され、空間に奥行きと静けさが生まれます。
本棚には背板がないため、その背後にある壁や窓がそのまま見えます。特に背後に窓がある場合、窓からの陽光が逆光となり、逆光を通す観葉植物の葉や冬枯れのような枝の集まりが効果的に映ります。これにより、順光を受けた場合とは異なる見え方になります。ガラス系の小物も同様で、透明なものや色付きのものが逆光を通すことで、順光では捉えにくい光の美しさを引き出します。
ここでは、そのような繊細な光の変化を巧みに利用し、独自の空間を構成しています。逆光による自然光の効果が、インテリアに深みと奥行きを与え、見る角度や時間帯によって異なる表情を見せる空間が作り出されています。これにより、単なる収納としての本棚が、視覚的なアクセントとなり、空間全体に独特の雰囲気をもたらしています。
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