都内のマンションにお住いのお客様です。
3人のお子さんがいらっしゃる楽しいご家庭です。家族で囲む円卓の真上には、ポール・ヘニングセンのデザインによるポールセンのペンダント照明が吊るされ、温かみのある光が部屋全体を包んでいます。円卓の周りには、デンマークの名作椅子であるストッケのトリップトラップが2脚、そしてハンス・J・ウェグナーのYチェアが2脚、さりげなく配置されています。これらの名作家具と照明が調和した空間は、家族の団欒を一層豊かにしてくれます。
背後には、「Shelf 壁一面のA5判本棚」が梁下一杯に設置されています。本棚には、主にご両親の愛読書が整然と並べられており、家族全員の知的好奇心を満たすスペースとして機能しています。特に、お子さんたちが自分の手で本を取って読むことができる高さに設置されているため、自然と本に親しむ習慣が育まれています。
ポールセンのペンダント照明の柔らかな光が、円卓を中心に家族の笑顔を照らし、トリップトラップやYチェアに座ったお子さんたちの成長を見守ります。このように、デザイン性と機能性を兼ね備えた家具や照明、本棚が調和することで、家族全員が快適に過ごせる理想的な空間が実現されています。
梁下一杯に納める
本棚を梁下ぴったりに納めたいとのご希望があり、今回は「フィラー板」を用いて2段階で取り付けとなりました。
まず最初に予定していた本棚を設置しました。その上で、それぞれの縦板の上端と梁下までの寸法を精密に採寸し、それに合わせてフィラー板を製作して取り付けました。お客様による採寸が非常に正確だったため、このように梁下ぴったりの仕上がりになりました。この手法は本来、転倒防止を目的としていますが、フィラー板を使用することで見た目にも気持ちの良く収まります。同時に、最上段に約10cmほどの隙間ができたため、そのスペースにはFellowsのBANKERS BOXを並べ、日用品で直ぐには使わないものをコンパクトに収納しています。BANKERS BOXはシンプルで統一感のあるデザインなので、本棚全体の美観を損なうことなく、効率的に収納ができる点が魅力です。
フィラー板によって本棚が梁下にしっかりと固定され、地震などの揺れに対しても安定感が増します。これにより、安全性が確保されるとともに、見た目にもすっきりとした印象を与えます。お客様の正確な採寸と、計画的な設置手順により、本棚が美しく収まるだけでなく、機能的にも優れた収納スペースが完成しました。
梁と本棚の面をあわせる
本件のもう一つの特徴は、本棚の奥行が梁と面一に配置されている点です。この面一の構成により、非常に心地よい仕上がりとなり、まるで造作家具のような一体感を感じさせます。面一に配置された本棚は、視覚的に一貫性を持たせることで、空間全体の統一感を高めます。これにより、部屋のどこから見てもバランスの取れた美しい空間が広がり、居心地の良さを感じさせます。また、このような配置は、特別な造作家具を設置したかのような高級感を演出しつつ、市販の本棚を使用しているため、コストパフォーマンスも優れています。
このデザインの工夫により、部屋の全体的な雰囲気が引き締まり、シンプルながらも洗練された印象を与えます。梁と本棚の面が一体化することで、壁面全体が一つの美しい構造物として機能し、視覚的な心地よさを提供します。
フィラー板による転倒防止
多くの方が本棚を固定する際になるべく壁に傷をつけたくないとお考えです。賃貸住宅に限らずとも、そういったお考えをお持ちの方は大勢いらっしゃいます。そこで用意されたのが本棚の縦材の上部と天井との隙間にフィラー板を差し込んで天井目一杯まで持っていくという手法、倒れようとする際に天井に引っかかって倒れにくくするというスタイルです。本棚の最上部に後からフィラー板を挿入して完全な壁一面の本棚にします。本件ではそれが梁になっているので、天井よりもさらに強力に作用します。
フィラー板の挿入に関しては、各縦板の横に挿入予定のフィラー板を並べて順に作業をしていきます。本棚を設置して内容物を入れた状態で天井との隙間を測定いただきそれに合わせてフィラー板を製作します。その際一般的に建物自体の施工誤差もあるため各縦材の位置で天井までのサイズが異なる場合があります。それぞれの箇所のサイズを教えていただきそれをもとに製作することになります。
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