埼玉県のマンションにお住いのお客様です。
そのクローゼットは、蔵書専用の本棚スペースとして利用されています。クローゼット内には、合計3台の「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」が設置されています。効率的に蔵書を収納するために、1列分の本棚はキャスター付きで自由に動かせる仕様となっており、背面にあるもう1台の本棚にも容易にアクセスできるようになっています。
このクローゼットには、窓際に「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm 4列」と、柱型を挟んで「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm 5列」が配置されています。5列の本棚の前面には、高さ5段の「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm 4列」をキャスターベース付きで配置し、これを移動させることで奥の本も取り出せるようにしています。これにより、収納量が格段に増え、大量の書籍を収めるキャパシティーが確保されています。
床面から天井を見上げた様子。梁型に合わせて加工された本棚、背後にある本棚、可動式の本棚が並びその向かいには2台の箪笥が並んでいる様子が分かります。
本件では、本棚をキャスターで移動させるため、お客様が床の保護用にニードルパンチカーペットを重ねて敷かれています。しかし、このカーペットは移動時にキャスターに負荷がかかるため、かえって動きを妨げる可能性があります。床の保護を考慮しつつも、キャスターの動きをスムーズにするためには、カーペットを敷かない方が良いと考えられます。
移動式本棚
移動式本棚の場合、それを動かすことで使いやすい位置に本棚を配置したり、部屋を間仕切りしたり、開放したりと、本棚の使用を前提に移動されます。一方、本件では移動させることで奥にある本棚を使用可能にするためのものであり、使いやすさよりも収納量を目的としています。しかし、移動書架自体は公共施設の図書館で使われるような大掛かりなものがほとんどで、このような小さなケースでは対応しきれません。そもそも移動書架は工事も必要になるため、一般家庭ではまず考えられません。しかし、ここでは本棚にキャスターベースを付けることで、小さな空間でも1台の本棚を動かし、その奥にある本を取り出せるようにするという優れた使い方が実現されています。
可動式書棚
面積が狭く限られた書庫の収納能力を高めるために、手動または電動で書架列を作り、レールで前後左右に動かし、その書棚の通路スペースを最小限に抑える書架があります。これは「レール式移動書架」とも呼ばれますが、レールの敷設自体が大掛かりな工事を伴うため、コストが高くなります。広いスペースに集密書架を設置する場合には大いに効果がありますが、小さなスペースでは現実的ではありません。
本件のような住宅の小さなスペースで集密書架を実現する場合には、レール式を採用せず、キャスターで動かす方法がコスト的に最も見合った方法と言えます。あまり背が高いと安定しないうえ、キャスター自体が耐えられる荷重に限度があるため、本棚の高さを5段までとし、移動棚の各縦材の下にキャスターを設置することで実現しました。
この方法により、狭い空間でも収納量を最大化できる一方で、キャスター付きの本棚を移動させることで、奥にある本棚にもアクセスできるようになります。これにより、限られたスペースを効率的に活用し、大容量の収納を実現することができます。キャスターベースを用いることで、工事の必要がなく、コストを抑えながらも柔軟な収納システムを構築することができました。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
SERIES27
キャスター付き本棚
このシリーズでは移動式の本棚を置く場合の考え方、レイアウト等を実例をもとに紹介しています
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