島根県内で訪問介護のお仕事をされているお客様です。
事務所の2階に「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」をL字型に2台並べて設置いただきました。事務所側から見ると出隅のコーナーに設置されているため本棚自体には使えなくなるスペースが出来ずにしっかりと納まっています。
入隅と出隅
「入隅」(いりすみ)とは、壁や板などの2つの面が出会う内側のへこんだ部分、またはその稜線のことです。対語として、出っ張った角のことは「出隅」(ですみ)と言います。
本棚を複数配置する場合、平面的に一列に並べることは問題ありませんが、それが入隅で隣り合う場合、1列分のデッドスペース(使用できないスペース)が生じます。マルゲリータではこのデッドスペースを解消するため、片方からその部分に収納できる役物を開発しました。これにより、デッドスペースが解消され、多少の使い辛さはあるものの、収納が可能になりました。
一方で、本件のように出隅で隣り合う場合、そのようなデッドスペースは生じず、収納能力に問題はありません。また、本棚自体が垂直・水平で構成されているため、立体的に隣り合っても齟齬は生じません。ただし、隣り合う2台の本棚が同一仕様であれば、水平板の延長線上にボルトの位置が来るため、全体として綺麗にまとまった印象を得ることができます。
昭和レトロの落ち着くインテリア
事務所のインテリアは、昭和レトロな応接セットを窓際に寄せ、本棚と格子状のシルエットが美しい窓が並んでいます。和風ではないものの、どこか落ち着く和モダンのインテリアとなっています。
和モダンインテリアとは、和のテイストと洗練されたデザインを組み合わせたインテリアを指します。和と洋の要素を融合させることで、どちらにもなかった新たな雰囲気が生まれ、おしゃれなインテリアを好む人々に静かな人気を博しています。和モダンインテリアは畳の部屋に取り入れるものと思われがちですが、このようにフローリングの部屋にも取り入れても違和感がありません。
天井と壁の境界にはこの様に廻り縁が入っているので本棚の縦板上端はこれをかわす形で加工されています。
和洋折衷の文化
戦後、欧米文化が急速に日本に浸透し、それまで畳の生活が当たり前だった日本の家屋に、一室だけ応接間と呼ばれる洋間ができるようになりました。その後、洋間の数は次第に増え、約20年前には、洋間の中に一室だけ畳の部屋を持つという形に変わりました。さらに現在では、その畳の部屋さえもなくなり、すべてが洋室で構成されるのが当たり前の時代になっています。欧米の住宅事情と根本的に異なるのは、靴を脱ぐという習慣だけになってきています。
昭和モダンとは、一般家庭が和洋折衷の過渡期にあった際に生まれたスタイルです。畳の上にソファを置いたり、台所にダイニングセットを配置したりするなど、和と洋を混ぜ合わせたインテリアが広く受け入れられるようになりました。このなんともチグハグな構成を、逆に懐古的に捉える様式です。無垢材の棚や真鍮の金具が付いた家具の引き出し、木製フレームのソファなど、木の風合いを感じる家具は昭和レトロと呼ばれるインテリアの一つとして認識されています。この「昭和」の雰囲気が、昭和が終わって30年以上経過した現在、逆に新鮮で温かみを感じる要素となっています。
IT機器に囲まれて育ったデジタル世代にとって、アナログな「昭和レトロ」インテリアは、新鮮で非日常的な感覚を提供します。しかし、昭和の時代には「アナログ的」という表現は存在せず、それが当たり前の生活でした。時代の経過とともに「アナログ的」という呼び方が定着したのは、ある意味で興味深い現象です。
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壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
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