都内のマンションにお住いのお客様です。ダイニングから繋がる細長いリビングに「Tavola ダイニングテーブル スチール脚 口型」と「AbitaStyle(アビタスタイル)Amanda チェア」を導入いただきました。更にダイニングテーブルに合わせてテレビ台として同じ高さの「Tavola コンソールデスク スチール脚」もご利用いただいてます。
「AbitaStyle(アビタスタイル)Amanda チェア」はリサイクルレザーを使用した椅子です。このリサイクルレザーの風合いは大変よく、本物の革と比較して全く遜色ないとまで思える素材です。
リサイクルレザー
リサイクルレザーとは、天然皮革の端材を集めて樹脂で固めた素材です。合成皮革(人造皮革)とは異なり、リサイクルレザーは天然皮革の端材を使用しているため、人工素材である合皮とは全く違うものです。この環境に優しい素材は、環境先進国であるドイツで開発、製造されました。現在では、イタリア、フランス、スペイン、アメリカ、カナダなどの欧米諸国を中心に生産されています。リサイクルレザーは、皮革製品を製造する際に出る革の端材を繊維状に粉砕し、それをラテックス樹脂と混ぜ合わせて固め、シート状に加工したものです。これまでは廃棄されていた革素材をリサイクルした環境対応素材です。40%ほど樹脂が含まれているものの、天然皮革ならではの自然の風合いを感じられます。
リサイクルレザーの特徴は以下の通りです。
- 廃棄されていた皮革製品の端材をアップサイクルした製品であり、環境に優しい素材です。
- スクエア状のシートで供給されるため、取り都合が良いです。
- 本物の皮革に近い風合いが楽しめます。
- 本皮革と比べて価格が安価です。
- 表面に型押しや顔料染め加工が可能です。
- 天然皮革なので、合皮とは風合いや肌触りが全く異なります。
ヨーロッパでは古くから、動物の皮を革に加工し、靴や鞄、財布などの皮革製品として愛用されてきました。しかし、動物の革はサイズや大きさのばらつきが大きく、部位によっても品質が異なるため、大量生産には非効率な材料です。革を製品サイズに打ち抜く際に必ず端材が発生しますが、この貴重な端材を有効活用し、皮革素材の効率的な大量生産を実現するための研究がヨーロッパで約100年前に始まり、現在に至っています。
このチェアを覆っているリサイクルレザーの背板、座板の輪郭はパイピング加工が施されています。このサイズでのパイピング加工は本革では逆に難しくもっと太いものになってしまいます。また背板の一枚内側に入った箇所は切りっぱなしの加工です。これは本革でももちろん可能ですが合皮ではこうはいきません。その意味ではこの「AbitaStyle(アビタスタイル)Amanda チェア」はリサイクルレザーの特徴を巧みに取り入れながらスタイリッシュなデザインに昇華しています。
一つの大きなテーブルに異なる複数の椅子を置く
一つの大きなダイニングテーブルに異なる複数の椅子を配置する、いわゆる「バラバラチェアコーディ」と呼ばれるスタイルがあります。この手法は古くからあり、同じデザインや色の椅子を並べる無機的な印象と比べて、個々の椅子に個性が感じられ、人が座っていなくても生き生きとしたダイニングの雰囲気が醸し出されます。バラバラチェアコーディにはさまざまな手法がありますが、大きく分けると以下の二つがあります。
- 同じ形の椅子で色を変える(本件はこのケースです)
- 色をある程度統一して形を変える
このように、好きな色系統や形をある程度まとまったグループにしたり、全く異なるデザインにするなど、正解はありません。椅子は自由に動かせるため、日常生活の中で常にアレンジを楽しむことができます。本件では、色の違いだけを取り入れたコーディネートですが、それが大きなダイニングテーブルを取り囲むことで、リサイクルレザーの特徴も活かしつつ、ダイニング全体をスタイリッシュな空間に昇華させています。
同一形状、同色で椅子を選んだ際には、仮にその必要個数が揃わなかった場合、もしくは一つの決めた色で揃えてみると到着した際のイメージが多少異なって今一つ納得が行かなかった場合、その様なケースが生じることは少なくありません。バラバラチェアコーデではそういったケースが生じないというメリットもあります。すなわち物事を決定することを避けながら、あるいは考えながらゆっくり決めていくという余裕のある動きが取れます。そういう意味でダイニングテーブルに対してそこに座る椅子を選ぶにあたり視野の広い選択が出来るようになります。
ガラス塗料を塗布したダイニングテーブル
本件のダイニングテーブルにはその表面と四周の木口面にガラス塗料が塗布されています。ガラス塗料は一般的な塗膜を作る塗装とは異なり木材の表面から含侵させて一定の深さまで硬化した結晶体を作る塗装です。塗布自体はウェスに塗料を染み込ませて3工程の塗布で完了します。これまでにない大変優れた塗料です。
ガラス塗料
ガラス塗料は、その表面に塗膜を作るウレタン塗料などとは異なり、木材の繊維に浸み込んで含侵しそこを硬化させる塗料です。それにより、木肌の質感を残したまま水の浸み込みや汚れを防止し、木材の表面にその綺麗な状態を長く保つことが出来る塗料です。その大きな特長は、木の表面に含侵させる塗料であるということ。浸み込んだガラス塗料は木材の繊維や細胞の中で硬化し、水の浸み込みや表面の汚れを防ぎ、木材を保護します。また、ウレタン塗料とは異なり表面に塗膜を作らないので、木材の持つ本来の色味や木肌の表情を変えません。また、木材が持つ本来のツヤと触り心地を保つことができます。また、一般的な塗料に比べ粘度が低くさらさらとした液状です。ウェスに浸み込ませて、表面を撫でるようにして塗るだけでムラ無くきれいに塗ることができます。
ガラス塗料は石英ガラスを液状化した特殊溶剤で、それを塗布することで塗装面にガラス膜を作ることができます。常温施工により各種基材に硬質で密着性に優れたセラミックス膜を形成する常温硬化ガラス型塗料です。この被膜は柔軟性があり紫外線に強く超耐久性を発揮するとともに、不燃性・撥水性・耐透水性・耐薬品性・耐汚染性に優れています。
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