FILE 553

リビングの壁一面をアナログレコードで壁一面の本棚奥行350mm / Shelf

2021/10/5

都内のマンションにお住いのお客様です。リビングに「Shelf 壁一面の本棚奥行350mm」を設置いただきました。

アナログレコードで満たされた壁面

綺麗にリフォームされたリビングの壁一面をアナログレコードで埋めています。これまで使っていたレコード棚、オーディオ機器も並べ今後の方針をお考えとのこと。音楽を楽しむ清楚な空間になっています。設置された本棚は、縦7コマ×横7コマ、天井まで届く高さの壁一面の本棚です。最上段のコマは壁の高さに合わせて調整してあります。その下の4隅にブレース材が配されています。この働きで本棚の剛性が確保されています。

縦板と横板の嵌合によって形成されたこの本棚は、棚板間のスパンを短く取っているため、棚板は撓まない構造です。大型の美術書や写真集、ファイルなど重いものの収納にも適していますが、本件のようにLPレコードを収納するラックとしては最適です。棚いっぱいに充填して収納しても、棚板は整然としたグリッドを保っています。

圧倒的な収納力

下から縦に6段積み上がっているセルの内寸は規格サイズであり、幅315mm、高さ320mmとほぼスクエアな形状です。本棚の奥行きは350mmで、LPレコードの収納に最適なサイズとなっています。大量のレコードコレクションをお持ちのオーナーにとって、大切なレコードの収納は課題となりがちですが、マルゲリータの壁一面の本棚がその解決策となります。レコードショップの什器のようにケースの上部が開いている「餌箱式」のボックスでは、上部の空間を有効に活用できず、コレクションの収納には不向きです。しかし、マルゲリータの本棚を使用することで、LPレコードをスクエアな箱状のユニットにまとめ、壁面いっぱいに水平展開し、さらに天井近くまで垂直に重ねることで、大容量の壁面収納を実現します。このダイナミックな収納ソリューションは、コレクションの整理整頓と効率的な管理を可能にします。

マルゲリータの壁一面の本棚は、薄い棚板を組み合わせたシンプルな構造により、その機能を最大限に発揮しています。棚板の厚みが見付となり、細いラインでグリッドが描かれています。ブレース材は中央に向かうラインとなり、四隅を引き締めることで、本棚のビジュアルに豊かな表情を与えています。本棚の見付のライン全体は床から天井まで広がり、障子の桟のような軽さと明るさをもたらしているため、ボリュームのある家具でありながら、その存在感は軽やかで淡々とした佇まいを呈しています。最下段の棚板は床面から15mmほど上がっており、このわずかな隙間に縦板がリズミカルに並ぶ様子が、軽やかな抜け感を演出しています。

本棚の右側には、これまでお使いだったレコード棚が並んでいます。オーディオ機器も併設し、今後の方針をお考えとのこと。壁面全体が音楽を楽しむための清楚な空間となっており、家具のファサードのコントラストを活かし、ジャンル別の収納を考える楽しさもあります。

全てのセルにアナログレコードを収める

マルゲリータの壁面収納は背板がないため、セルに物を収納していない場合は棚板を通して奥の壁が見えます。しかし、本ケースでは膨大なレコードコレクションが本棚の全てのセルに収納されているため、ブレース材の入ったセル以外では壁面は見えません。その代わり、本棚の正面にはLPレコードのジャケットの背面がびっしりと並び、壮観な光景を作り出しています。

各レコードジャケットのデザインは凝ったもので、その背面にはタイトル文字や色彩が巧みに配置されています。しかし、膨大な数のレコードジャケットの背が一面を埋め尽くすことで、細かいストライプが並ぶ面は画素で埋め尽くされたようになり、色彩が混ざり合って彩度の低い色面が形成されます。この色面の上に棚板の見付によるグリッドが浮かび上がることで、本棚全体は柔らかいテクスチャのタペストリーのような印象を与えます。いくつかのセルにできた隙間は織物のフリンジ飾りのようにも見え、このタペストリーに風が通り抜けるような軽やかな印象をさらに強調します。

大量のコレクションが壁一面に圧倒的なボリュームで収納されているにもかかわらず、この部屋には涼しげで清楚な雰囲気が保たれています。直線と明るい色彩が繰り返され、全体を統合しています。明るい色のフローリングは本棚と並行する木目で敷かれ、白いフラットな天井には大きな窓から入る豊かな自然光が柔らかく反射して、室内全体を明るくしています。本棚の水平線と垂直線の組み合わせ、そして天井に配されたダウンライトのレールが描く直線が、安定した美しい景観を形成しています。さらに、グレーのラグマットのシンプルな幾何学模様がグリッド線を反復し、統一感のある空間を作り出しています。