神奈川県の戸建て住宅にお住いのお客様です。
リビングの入口ドアと高窓をそのまま活かしながら、その前面に「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」をオーダー加工して設置し、壁面収納として使用しています。框戸スタイルの玄関ドアのガラス面や二つの高窓、さらに上方にあるトップライトからの採光を取り入れることで、明るい室内を実現しています。
本件では、前述のドアや高窓、さらに壁面のスイッチやコンセントなどをすべて活かしながら、本棚の配置を決めました。可能な限り既製サイズのコマを多用しつつ、全体を一体として見せるように計画されています。
全体は大きく2つのブロックに分かれており、入口ドアの上部を通して門型に構える左側のブロックと、二つの高窓に開口部を合わせた右側のブロックに分かれています。画像は右側のブロックを示しています。2つの高窓の位置に合わせて本棚の縦材と横板の位置が確定され、そこを起点に周囲へと広げていく方法で設計されました。その結果、高窓の中央の列を中心に放射状に広がるようにブレース板が配置された本棚が完成しました。本棚には全集物が整然と並べられており、「本棚の中の棚」を使用して背表紙を見せながら美しくレイアウトされています。
左側のブロックです。こちらは基本的には見せない収納としての要素が強くビジネス書を中心とした単行本の収納以外の日用雑貨、文具等はファイルボックス等にまとめて収納されています。
本棚の中の棚
様々なサイズの本に対応
奥行350mmと奥行250mmの本棚のセルに入れる棚板です。コの字型をしていて奥の本の位置を持ち上げることにより手前に本が置いてあってもその背表紙が見える仕組みのものです。2列と3列があり、様々な本のサイズに対応しているので蔵書の種類を問わずに収めることが出来ます。またCD用に用意した専用棚もあります。
後ろにある本の背表紙が見える
コの字型の台は4種類ありその組み合わせでパターンが選べます。最大3列並べることにより文庫本であれば奥にある本の背表紙が確認できるため手前の本を出さないと取り出しにくいという難点はありますが、そこに何があるかは確認できます。
セルの容積を最大限活用できる
奥行250mmの本棚であればA4サイズの本がちょうど入りそれを並べることによりセルはほぼ充填出来ます。しかしそこに文庫本を置こうとすると上部も前面も殆ど空隙となり収納量として効率の悪い並べ方になります。本棚の中の棚を使う事でセルの容積の最大2/3まで活用出来るため空隙を十分に使うことが可能になります。
壁面に本棚を配置する際には、生活に必要な様々な機能を確保しながら構成を考える方法があります。この方法では、必要なエレメントを考慮しつつ、それらを本棚で囲むように設置します。一方で、これとは逆に、最低限必要な要素だけを残し、その残りの空間をすべて本棚で埋めるという方法もあります。このアプローチは、ポジに対してネガを作り出すような構成で、本件の様に入り口ドアや窓などの必須要素を完全に確保しながらも、壁面全体を本棚で覆うこともできます。
さらに、上部のトップライトから差し込む陽光がこの一見無機的な面を温かみのある生活空間に変えます。この光が、本棚の陰影を引き立てるとともに、部屋全体に柔らかな明るさをもたらし、全体の雰囲気を和らげています。このように、生活に必要な要素を確保しながらも、本棚によってフラットで統一感のある壁面を実現することで、機能性とデザイン性を両立させた空間を作り上げています。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
SERIES31
窓を塞がずに本棚を配置する
このシリーズでは窓を活かして本棚を配置する場合の考え方、レイアウト等を実例をもとに紹介しています
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