都内のマンションにお住いのお客さまです。リビングをご夫婦のワークスペースとしてそれぞれがアイランド型のデスクを持ち、可動間仕切りで仕切られた反対側の壁一面に「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」を置かれています。
縦7コマ×横7コマの大容量の本棚が、床から天井までいっぱいに広がっています。
本棚の背面には背板がなく、収納された書籍などを通して壁面が見えています。棚板の水平面と垂直面が組み合わさってできる濃淡の陰影が壁の上に広がっています。平坦なマンションの壁面の上に大容量の収納機能と同時に棚板による整然としたグリッドが浮かび上がります。
本件では向かって右側の壁面にセルの幅と同じくらいのスペースが空いています。このバランスが白い壁面に奥行きを感じさせる効果を生み出しています。向かって左側にはカーテンの寄せてある200mmほどの隙間に楽器ケースが置かれています。室内を歩く足が当たったりしない、楽器の置場に最適な安定したスペースです。
ディスプレイ棚としての本棚
下方の棚には、椅子に座って作業する際にちょうど視線の高さにくる位置です。この段の4つのセルには、本を1冊ずつ表紙を見せて立ててあります。書店でもよく見かけるこのディスプレイ方法は、専門用語で「面陳(メンチン)」と呼ばれます。通常、本棚に蔵書を収納する際は背表紙を揃えて並べますが、あえて面陳にすることで表紙の美しい装丁が視線に触れるように配置されています。このディスプレイ方法により、本棚はお部屋の主の美意識を反映する場として活躍しています。
中段のセルには、アクリルのフォトスタンドに飾られたアートワークがディスプレイされています。本の表紙もアートワークに匹敵するディスプレイとして配置されています。本棚がグリッドで区切られているため、このようにディスプレイされた区画と実用性を発揮するセルを意のままに区分けして使用できます。
アイランド型デスクの配置
この部屋で仕事に集中しているとき、背後に控えるのは窓です。ディスプレイや机上を背後から不意に覗き込まれることがないため、心理的に安心感のある配置となっています。オフィスでは、一番奥の窓や壁を背にして入口に向かう配置の席は、そのエリアの責任者が占めることが一般的です。この席は、背後を通られたり肩越しに机上を覗き込まれたりすることがなく、そこに座る人が室内を見渡し、把握し、コントロールすることができる特権的な場所です。
ホームオフィスでこのアイランド型の配置を確保することのアドバンテージは意外と大きいものです。例えば、作業に熱中しているときに不意にパートナーがお茶を運んできたりする場合、目視できない背後の空間から予想外の動きが発生することを気にする必要がありません。この配置により、業務に集中する時間に安定した状態を保つことができ、仕事の効率性が向上します。
本件ではこの席から見える眺めは、部下が机に向かって働いている姿ではなく、壁一面の本棚に並ぶ美しい装丁の書籍や参考資料です。そしてホームオフィスでもありくつろぎの空間でもあるリビングの様子を一望できるのです。画像には写っていませんが、パートナーのデスクも、このデスクと並ぶ形でアイランド型に配置され相互のエリアの独立性が保たれた快適なフォーメーションになっています。
リビングとワークスペースとしてお使いの部屋に置かれたこの本棚にはさまざまなモノが収納されています。ここに収められているものは書籍やフォルダ類だけでなく仕事や暮らしに必要な物です。本件では、大きさや色合いがまちまちになりがちなモノをファイルボックスを使って収納し、「見せない収納」を取り入れています。特に一番下の段に7つ並ぶ白い蓋付きのボックスは、モノの仕分けと同時に視界をモノトーンに整えています。仮にいくつかのボックスに何も入っていなかったとしても、整然と並んだ箱のビジュアルは壁面に安定した重心と視覚的な軽さを与えています。ボックスは床に直接置かれているため、重いものであってもフローリングの上を滑らせることで出し入れが容易です。
下方のセルには、ファイルなどが収納されています。セルの中にファイル用スタンドをいくつか挿入し、書類や薄手のパンフレットが自立するように工夫されています。右端の列には、ボール紙製の引き出しが収められています。引き出しのデザインがアクセントになっているものの、本棚の色調と同系色であるため、全体のビジュアルに自然に馴染んでいます。このように、セルごとに機能を加えて収納力を高め、壁面をオーガナイズしつつワークスペースとしての機能を自分仕様に高めていけるこの本棚は、ホームオフィスの充実を力強く支えています。
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壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
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