前回に続いて都内のロフト付きのワンルームにお住いのお客様です。
リビングの中央には「Carta2 Lソファ」をお使いいただいてます。低い位置に置かれた大型テレビに対して低い位置で生活する姿を具現化。ロフト付の高い天井の下でローソファに座ることにより更に天井は高く感じられ空間を豊かなものにされています。
長屋と言う言葉は一般的に古い家屋の集まりとイメージされやすいですがここでは建築基準法上の「長屋」に関して解説します。建築基準法では集合住宅を2つに分け一つを共同住宅、もう一つを長屋と定義付けしています。共同住宅が入口、廊下等を共有しているのに対し長屋は住戸の界壁以外共有するものはなく各住戸の入り口に至る通路も共有部分があってはいけません。
建築基準法における長屋形式は、共同住宅と比較して建築基準法および消防法の規制が緩い反面、そのプランニングはまるで立体パズルを解くかのように難解です。特に複数階を有する重層長屋はその難易度が一層高まります。実際、多くの設計者はこの複雑な長屋形式の集合住宅に挑戦しながらも、規制が緩やかな一般的な共同住宅を選ぶことが多いのが現実です。それほど、長屋形式の設計は難しいのです。
このような難解な長屋形式においては、各所に通常では目にしない様々な工夫が盛り込まれていることがしばしば見受けられます。本件におけるロフトもその一例です。ロフト部分は天井高さが1400mm以下で、かつ住戸の床面積の2分の1以下であることが条件です。この条件を満たしたロフトは、床面積に含まれないスペースとして機能します。一般的には住戸面積内に納めるのが普通ですが、本件ではその利便性を優先し、条件を超えて床面積に参入されています。
このように、難解な長屋形式においても、ロフトなどの工夫を凝らし、利用者の使いやすさを最大限に考慮した計画が実現されています。このアプローチは、設計の柔軟性と創造性を発揮する好例と言えます。
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