スポーツブランドのPUMAや新進気鋭のアーティストのCDジャケットのデザインなど、独特の世界観とともに確かな実績をもつグラフィックデザイナー「GraphersRock」こと岩屋民穂さん。
この度スタジオと住居を新築し新しい仕事場を作られました。以前の仕事場でも本棚をお使いいただいてましたがこの度それはお知り合いに譲られ新たに「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」を導入いただきました。(→前回の記事はこちら)
今回はその仕事場の紹介です。
世田谷区砧公園の近くにある新しい仕事場は道路から少し上がった場所にあり以前の仕事場を彷彿させる縦長のスタジオです。その片側の壁一面に本棚を2台並べてお使いいただき4面のモニターに囲われたワークスペースがその延長線上にあります。もう一面の壁面と天井にはこれまで作ってこられたたくさんのプロダクトが所狭しと飾られ独特な空気がそこにはあります。
このクリエイターのアトリエには、膨大な成果物が並び、その圧倒的な存在感に引き込まれます。成果物と共に、制作のための試作品やモックアップも展示されています。室内の展示品は大まかに、靴のデザイン、靴以外の動きのある小物、書籍に分けられています。無秩序に展示するとカオス的な状態になりがちですが、ここでは靴関連のものは壁から束のように吊るすか、シューズボックスに収納し、書籍や資料は本棚に収められています。その本棚は延長され、4面のPCを駆使した創作スペースに繋がっています。
以前のアトリエは、膨大な展示品が床まで所狭しと並べられ、まるで自然にできた獣道を通るようにして創作スペースに辿り着く配置でした。今回はその逆で、入口付近に創作スペースがある点が大きく異なります。適切なたとえではないかもしれませんが、洞窟の奥に創作スペースがあるのか、入口にあるのかの違いです。その中で本棚は一貫して均一なグリッドを形成し、カオス手前の室内をバランスよく整えているように見えます。
出来上がった室内からは想像しにくいですが、今回の設置では床面がコンクリートの金鏝仕上げであったため、本棚のレベル調整に腐心しました。一般的に、フローリングやカーペットで仕上げられた床面は、その下地の段階でレベルが調整されているため、床面の凹凸はほとんどなく、表面はフラットです。しかし、コンクリート仕上げの場合、見た目はほぼフラットでも±10mm程度の不陸があるのが一般的です。そのため、本棚を設置する際には、まず指定場所に仮置きし、レーザー墨出し器を用いて中段の横板の上端をロック、そのレベルに合わせるため、それぞれの本棚の縦材の下にフィラーとなる端材を挿入し、全体のレベルを1ミリ以下に抑えました。マルゲリータの本棚は床面のわずかな不陸を拾い、上部の並びが歪むことも稀にありますが、今回はその点を考慮して設置を進めました。その結果、一見すると何事もなかったかのように本棚は整然と並んでいます。
岩屋 民穂(いわや たみお)さん
アートディクレクター、グラフィックデザイナー
インディーズからメジャーレーベルまで様々な CD ジャケット、音楽まわりのデザインを手掛け、幅広い分野でアートワークを展開。様々な企業、ブランドとのコラボレーションを行い、テン年代の東京ポップカルチャーのデザインを牽引、提示し続けておられます。
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壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
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