台東区谷中にある長屋形式の集合住宅にお住まいのお客様がそのL字型のロフト部分を書斎として活用されている事例のご紹介です。住宅のロフト部屋に「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm ロータイプ」を、寝室に「BLC 収納ボックス」を設置いただきました。
長屋形式の集合住宅
長屋と言う言葉は古い家屋の集合体とイメージされがちですが建築基準法の扱いは異なります。その違いは共同住宅との違いです。共同住宅が入口、廊下等を共有しているのに対し長屋は住戸の界壁以外共有するものはなく各住戸の入り口に至る通路も共有部分があってはいけません。
建築基準法に基づく長屋形式の住宅は、共同住宅に比べて建築基準法および消防法の規制が緩やかです。しかし、そのプランニングは非常に複雑で、まるで立体パズルを解くような難しさを伴います。特に複数階にわたる重層長屋は、設計者にとって非常に難解な挑戦となります。多くの設計者は、この複雑な長屋形式の集合住宅に挑戦しつつも、ある程度の規制を受ける一般的な共同住宅の設計の方が容易であるため、そちらを選ぶことが多いです。そのくらい、長屋形式の設計は難易度が高いのです。
長屋形式の住宅では、一般的に見られない独自の工夫が随所に盛り込まれています。本件におけるロフト部分がその一例です。ロフトの天井高さは1400mm以下であり、住戸の床面積の2分の1以下である必要があります。これは、床面積に参入されないスペースとして認識されるための条件です。この条件を満たしたロフトは、実質的に追加のスペースとして提供されることになります。一般的には住戸面積内に収めるのが普通ですが、本件ではそれを超えても使いやすさを優先した計画が採用されています。これにより、床面積に参入されても利便性が高い設計となっており、その点で非常によく考えられた計画と言えます。
長屋形式の住宅設計は、その規制の緩さと引き換えに、プランニングの難解さが大きな課題となります。しかし、その中で設計者は様々な創意工夫を凝らし、住みやすい空間を提供することを目指しています。ロフトの活用はその一例であり、難解な設計においても使い勝手の良さを追求した結果、非常に効果的なスペース利用が実現されています。このような計画は、長屋形式の住宅の設計における独自の挑戦と工夫を象徴しています。
本件のお客様はその特殊な案件を見抜き、そのスペースを手に入れしかもその当時ロータイプの本棚という商品そのものを持たなかった我々と話し合いそれの商品化を促し、実際にそのロフトのレイアウトをご自身でされ実行されました。
長屋形式特有の玄関からの長い廊下を経て辿り着いく居室ゾーンにはそのロフトに上がる梯状の階段が目に入ります。空間を一寸たりとも無駄にしないレイアウトが見られます。
ロフトの入口
リビングから来た道を振り返って同時にそのロフトを見あげたところです。自然光の室内に於いてLEDで照らされた色温度の高いロフトスペースがのぞきます。
その中にロータイプの本棚を中心に寸法的な特注サイズも加えロフトを完全な書斎にされてます。
ロフトを書斎に
ロフトはL字型の平面形状を持っています。そのL字型の折れ点から、先ほどの梯子状の階段の上がり口を見返すと、まるでトンネルの中からその出口を眺めているかのような光景が広がります。この出口から差し込む豊かな光が、ロフトの奥行きを際立たせ、深いトンネルのような印象を与えます。この画像からも、その雰囲気が伝わってきます。
ロフト入口入ったところからL字型の折れ点を見たところです。その奥にはまるでどこまでも続いていくかのよな期待感さえ感じられます。
トンネルの終点側から折れ点を振り返った様子です。
ロフトにおけるミニ書斎の実現方法として、高さの低い本棚を複数置いて活用することが望ましいと言えます。天井の低さを利用した空間では、以下のようなポイントが必要です。
・本棚の高さを低く設定することで、ロフトの限られた高さを有効に使い、収納スペースを増やす
・本棚を複数配置することで、書籍や資料をカテゴリー別に整理しやすく、効率的な収納が可能になる
・天井の低さによる閉塞感を和らげるため、照明を使って空間を柔らかく演出する
天井の低いミニ書斎を作る際は、空間の有効活用と心地良い環境整備に注力し、集中力が高まる快適な書斎が実現できます。
隠れ家としての男の書斎
ロフトの中央であるL字型の折れ点に座卓を置きそこで読書をする、またその書物に囲まれて過ごす時間は至福の時間と言えます。
オフの時間には自分のために時間を使うことが出来ます。自分自身のキャリアのために、又はもっぱら興味から勉強をしたり読書をしたり、ONとOFFの区分でさらに集中力を高め、その時間をより充実したものにする。そのために人との接触を断った書斎スペースを設けることは極上の手段と言えます。自分のための空間として使える書斎スペース。まさに男の隠れ家としての書斎です。
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壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
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