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都市計画事務所の打ち合わせスペースに壁一面の本棚奥行250mm / Shelf

2015/2/13

新宿区にあるランドスケープ設計事務所にShelfシリーズの「Shelf 壁一面の本棚奥行250mm」を設置いただきました。

こちらは新しく開設された東京事務所です。その打ち合わせスペースの壁面に縦7コマ×横5コマの本棚を2台並べて設置していただきました。さらに、打ち合わせスペースと作業スペースとをつなぐ通路の壁面にも縦7コマ×横5コマの本棚を1台設置していただき、合計3台の本棚をお使いいただいています。

この打ち合わせスペースは、天井にビルトインのエアコンがあるために左右の天井の高さが異なり、向かって左側の本棚は低い方の天井の高さに合わせてあります。天井と天板との隙間がほとんどないので、縦板を天板までの高さにカットして、天板と縦板とはビスで止めてあります。左右の本棚は高さこそ違っていますが横板の見付のラインが揃っているために壁面全体を大きなグリッドが均質に広く覆う状態になっていて、アンバランスな印象は全く感じられません。２台の本棚は、このスペースに合わせて造った造作家具のように端正に収まっています。

マルゲリータの本棚は、無駄な要素を一切含まないミニマルなデザインで作られています。縦板と横板それぞれに切り込みを入れて相互に嵌合させて組み立てられて、両端の側板と横板とは最小限のボルトで止められており、ボルトによって両脇から挟み込まれるような力が働いています。本棚の四隅のセルに配置されているブレース材が平面方向の剛性を確保していますので背板を設置する必要がなく、棚板の間から背後の壁が見える構造です。本件では、コンクリートの打ち放しの壁面が棚板とそこに収められた書籍やファイルボックスなどを透かして見えています。この結果、デザイン事務所にふさわしい都会的でスタイリッシュな印象が生まれています。

縦横の棚板は相互に短いスパンで固定されているために荷重に強く、重いコンテンツを大量に収納してもそこに「たわみ」が生じることはほとんどありません。奥行250mmの本棚の場合、1コマあたりの耐荷重は約30kgあります。

250mmの奥行きは、いわゆる一般的な本棚のサイズです。最上段と最下段以外のセル内部の有効寸法は幅325×奥行250×高さ335mmあり、美術や建築やファッション分野などに多い“A4サイズよりも少し大きめの書籍”を収納することができます。ビジネスシーンでもっぱら使われるA4サイズの書類などの収納に適していることはもちろんですが、それらを綴じて整理するためのファイルなども収納できるサイズです。本件では、2段に渡って市販の白いファイルボックスが並べられています。1つのセルに3つずつ並べられたこのファイルボックスには、雑誌が収納されています。雑誌や薄いパンフレットなどのように背表紙のない冊子はこのようにファイルボックスを使って整理すると保管しやすく探しやすくなり、見た目もすっきりとまとまります。本棚の真ん中に形成されたボリューム感のある白い帯が全体を引き締めて、銀色の金具がアクセントになって、クールでスタイリッシュなビジュアルが出来上がっています。最下段には棚板がないデザインで、フローリングの上に直接コンテンツを置く仕様です。この段の有効高は400mmあって他の段よりも大きいコンテンツを収納できます。また、出し入れするときにフローリングの上を滑らせることができるので、重いコンテンツの収納にも便利です。

また本件では、いくつかのセルをディスプレイスペースとしてお使いいただいています。そこには雑誌やファイルボックスだけでなく、遊び心を感じさせるオブジェクトや写真パネルが置かれています。書籍の背表紙やファイルボックスは基本的に直線による造形で、そもそも「仕事に使う」という属性を帯びた「実用に供するためのモノ」ですから、それらが本棚全体にみっちりと収納されると重厚でスクエアな感じが醸し出されます。そのような本棚の一部のセルの中に、不定形のオブジェクトを置いたり、敢えて何も置かないブランクのセルを作って背面の壁を見せたりして異質な空間をとることで、このカチッとした印象に心地よい揺らぎが生じ、おしゃれな印象が生まれてきています。また、右側の本棚の最上段には、敢えて何も置いてありませんが、棚板と壁面と天井の面が作り出す空間そのものが軽やかな存在感を呈して和室の欄間飾りのような趣向を感じ取ることができます。また、棚板の見付が作る細いグリッドラインが大いに効果を発揮しています。壁面全体をグリッドが覆って全体をまとめているので、この壁面は、250mmの奥行きのある大きなタペストリーのようにも見えています。さらにブレース材の描く斜めのラインがコミックの効果線のように視線を誘導し、自在なアイデアが生まれてくるクリエイティブな場としてのデザイン事務所のエネルギーが滲み出てくるかのようです。