リビングに於ける壁一面の本棚
お客様のところにお邪魔して撮影させていただいた「Shelf 壁一面の本棚 奥行 250mm」のご紹介です。
広い壁の前にシンプルなデザインのマルゲリータの本棚が設置されていて、本棚いっぱいに大型の写真集などが収納されています。この大きな壁面収納全体は壁を覆うタペストリーのような外観になっていて、アーリーアメリカン調の温かみを感じさせるインテリアの雰囲気に調和しています。最上段の縦板を天井高に合わせてカット加工してあります。本棚の左隣に置かれたカップボードは転倒防止のために突っ張り棒を使って支えていますが、本棚は天井と縦板の先端との隙間がわずかしかない状態になっているので、万が一、前のめりの方向へ倒れる力が働いたとしても棚板が天井にかかって転倒を防止します。
マルゲリータの壁一面の本棚は本棚の四隅のセルにブレース材を配することによって水平方向への剛性を確保しています。このため本棚には背板を取り付ける必要がなく棚板を通して本棚の背後まで視線が届くようになっています。本件でも棚板と本棚に収められたコンテンツの隙間から背後の壁が見えています。本棚の内側の写真集と壁と棚板との間にまで光が入り込んでいるために、オフホワイトの壁の明るさは完全に覆い隠されてしまうことがなく、反射した光は柔らかく室内に戻ってきています。
本棚の左端の最下段のセルの背後にはコンセントの口があるのですが、前面に本棚を置いても背板で塞がれることがなく、部屋の機能をそのまま生かしてお使いいただいています。
固定された棚板の見付によって、常に本棚の最前面に障子の桟のようなグリッドラインが現れてハイライトを描き、特徴的な外観を見せています。書籍にはA4判や四六判といった基準になる判型があるので物体としての形状は比較的揃っているものなのですが、ここに大量に収められている「写真集」は写真家の個性が強く反映された「作品」としての性格をもつオブジェクトであるために、背表紙にもアーティストの美意識や主張が強く表現されていて色彩や形状に比較的大きな振れがあり、全体としてはばらつきのある集合体になります。
写真集はさまざまな色と形の背表紙を見せて並び、カラフルな混色の色面を形成し、一冊ずつの背表紙が強い色と文字デザインで自らの存在感を主張しますが、マルゲリータの本棚に収納されると、まず、それらは等間隔の横板に水平に並べられることで下辺が整います。さらに等間隔の縦板によって横に伸びる色彩の塊が細かく区切られて、全体としては安定した色面が形成されていきます。そして、グリッドラインで整えられた色面には統合された印象が生まれます。
本件では、本棚の下の方には比較的大きめな判型でモノトーンの本が並び、上から3段までに比較的小型の本が収められていて、そこには赤とオレンジと黄色の配色がランダムに点在していることで、絶妙なバランスが作られています。また、背表紙を本棚の端に揃えて配置してあるために本棚の前面に背表紙による広い面が構成されています。本を前後に重ねずに一列に並ぶ形で収納してあるので、探している本のありかが一目でわかります。
四隅のブレース材による4つの斜めのラインとその上に現れた直角三角形のブランクの空間が壁面にアクセントを添え、大量の本が持つ重厚なボリューム感に対して軽やかな抜け感を演出しています。少し斜めになった書籍が三角形を描く様子も視界にリズム感を加えています。リビングというリラックス空間にふさわしい居心地の良さを付け加える効果も発揮しているようです。
本棚はシナ合板の無塗装仕上げなので光が柔らかく反射する質感を持っていて、軽やかな印象を醸しだすために一役買っています。本棚の側面に並ぶボルトの頭は横板を固定するミニマルな機能なのですが、この面にアクセントを添えています。
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壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
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