壁面いっぱいに本を収納できる大型の本棚を設置する際、よく聞かれる心配が「地震の時の対応」です。
大きな地震の揺れで本棚が倒れたり本が落下したりすると、ケガや避難の妨げになってしまう可能性があります。
安全に使用するためには、本棚を設置するときに、転倒防止対策や本の落下防止対策をしておくことです。
この記事では、地震による本棚の転倒を防ぐ方法や、本の落下防止に役立つアイテムを紹介しています。
一般的な地震対策のほか、マルゲリータ独自のフィラー版を使用した地震対策など、マルゲリータの壁一面の本棚『Shelf』を事例に具体的な本棚の転倒防止対策もまとめました。
大きな本棚を設置する際の地震対策に不安がある方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
本棚を地震による転倒から守る方法
出典:マルゲリータ公式サイト https://www.margherita.jp/user/file_554/
本棚の地震対策・転倒防止対策は、結論から言うと「本棚を固定する」ということです。
壁や天井に固定することで、地震の大きな揺れがあったとしても本棚が転倒しないようにし、下敷きになってケガをしたり、避難経路がふさがれたりする被害を防ぎます。
ここでは、本棚を転倒から守るのに利用される一般的なアイテムを4つ紹介します。
L字型金具
出典:Aibboyi Amazon公式サイト https://www.amazon.co.jp/dp/B08PYVS4QG
L字型金具は、一般的によく利用される転倒防止対策のアイテムです。
L字型の金具とビスを使って、本棚と壁を直接つなぎます。ビスを止める作業を自分で行う場合は、電動ドライバーなどの工具があった方がスムーズです。
なお、壁の素材に応じてビスを選択する必要があります。
コンクリートの場合は下穴をあけてコンクリートビスを打ち、合板の場合はビスをそのままねじ込みます。石膏ボードの場合は、専用のボードアンカーを予め打ち込んだのち、ビスをねじ込みます。
L字型金具でしっかりと固定するためには、壁の素材に合った適切な方法を選択してください。難しい場合は、専門の業者に相談しましょう。
ベルト式ストッパー
出典:キングジムAmazon公式サイト https://www.amazon.co.jp/dp/B081GLW16M
壁に穴を開けない方法としては、ベルト式ストッパーがあります。
本棚と壁の間をゴムベルトでつないで、ベルトは強度の高い粘着テープで固定する方法です。
ゴムベルトの伸縮によって地震の揺れに耐えることができて、L字金具の次に高い強度が期待できます。
強固に粘着した場合、壁紙から綺麗にはがすのは難しいかもしれません。退去の際に壁紙の張り替えを前提としていれば、賃貸住宅でも採用できる方法です。
ビスのように壁に穴が開く心配はありませんが、地震の際に壁紙が粘着テープごとはがれてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
突っ張り棒
出典:平安伸銅工業Amazon公式サイト https://www.amazon.co.jp/dp/B00C1SUMMK
本棚の上部と天井の間に突っ張り棒を設置して、押し合う力で地震の揺れに耐える仕組みです。
ネジや粘着シートを使わないため、家具や天井に傷をつけずに地震対策ができるのは大きなメリットです。また、費用もそれほどかからず、手軽に導入できるのも魅力です。
転倒防止のための突っ張り棒は、サイズ選びが重要です。天井から家具までの距離に合った物を選ぶようにしましょう。
また、吊り下げ天井(天井と上階もしくは屋根裏との間に空間があるタイプ)の場合、天井の板が取り付けられている軽鉄などの下地に突っ張り棒が当たっていないと十分に固定できない可能性がありますので、設置場所には注意が必要です。
耐震マット
出典:iHouse all Amazon公式サイト https://www.amazon.co.jp/dp/B082S3WPMM
耐震マットは、5mm程度の厚みがあるジェル状のシートを本棚の下に敷いて使用する地震対策グッズです。
ジェルシートの粘着性と柔軟性で、地震の揺れが起きても転倒しない効果が期待できます。
耐震マットが効果を発揮するためには、本棚の底面にシートがぴたりとくっついていることが重要です。底面がフラットな本棚に有効です。
ただし、耐震マットは壁や天井に固定するタイプではないので、高さがある本棚の場合は注意が必要です。
地震で本棚から本が落下しないようにする方法
本棚を固定したら、次に対策したいのが「本の落下防止」です。
本棚そのものが倒れなくても、地震の揺れで本が飛び出したり床に積み重なったりすると危険です。
本の落下防止に役立つ地震対策グッズとして、「落下抑制テープ」というものがあります。
出典:3M公式サイト https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/p/d/v000492437/
落下抑制テープは、幅2cm程度の半透明テープを本棚の棚板に貼って使うアイテムです。
地震の揺れで本が激しく動いても、棚から滑り落ちるのを防ぐ効果があります。
メーカーの振動実験では、震度6弱程度の揺れでも本が落ちにくい効果があることがわかっています。
全国の図書館でも採用されており、普段の本の出し入れには影響しないため、取り入れやすい対策アイテムです。
ただし、このテープは金属やガラスなど凹凸のない面に貼ることを想定しています。無垢材やプラスチックの棚板での使用は推奨されていないため、効果を試してから導入しましょう。
【事例】マルゲリータの大容量本棚『Shelf(シェルフ)』の地震対策
ここからは、マルゲリータの本棚の地震対策について事例を交えて見てみましょう。
天井までの高さがある本棚を設置する場合は、2種類の固定方法をご用意しています。
違いは、壁に穴をあけて固定するか、穴をあけずに固定するかという点です。
賃貸住宅など、壁や天井に穴をあけにくいケースでも本棚を固定することができます。
2つの固定方法について、詳しく解説します。
L字型金具による壁への本棚の固定
出典:マルゲリータ公式サイト https://www.margherita.jp/shelf/overturning.html
原則としておすすめしているのが、「L字型金物」を用いる方法です。
マルゲリータ「Shelf(シェルフ)」には、「L字型金物」と石膏ボード・合板用ビスが同梱されていますので、これらを用いて壁に穴をあけて固定します。
L字型金物で固定する場合は、本棚の最上段の横板と壁面を2箇所止めます。
ただし、壁の下地の種類によって、留意すべき点があります。
合板下地の場合
壁の下地が合板の場合、特に何もなくそのままL字型金物と本棚の最上段横板を2箇所留めてください。
プラスターボード(石膏ボード)+下地(縦胴縁)の場合
壁下地センサー等を使って、壁の下地位置を確認します。次に手で叩いたり、千枚通しを刺したりして下地の場所を特定します。
木造戸建て住宅では下地が木製の場合が多く、その場合はビスでそのままL字型金物で固定します。
マンション等の鉄筋コンクリートの場合は下地が軽鉄製(LGS)の場合が多く、その場合はドリルビスという先端が軽鉄に食い込みやすい形状のビスを使ってL字型金具を固定します。
プラスターボード(石膏ボード)+GLボンドの場合
GLボンドという石膏系接着剤が使われている場合、壁下地探しセンサーで判断します。下地があって、その上下を手で叩いてみて空隙感があった場合はGLボンドになります。
その場合、GLボンドにはビスが打てないので、その位置を避けてL字型金物を石膏ボード用のボードアンカーを使用して留めます。
石膏ボードへ、ボードアンカーを使用して固定する方法は、こちらの動画で説明しています。
フィラー板による壁への本棚の固定
賃貸住宅にお住まいの場合や、将来本棚を移動する可能性がある場合には、壁に穴をあけない固定方法を用意しています。
それが「フィラー板」という、特殊なパーツを使用する方法です。
フィラー板の固定方法
出典:マルゲリータ公式サイト https://www.margherita.jp/shelf/overturning.html
フィラー板は、本棚の縦材と同じ幅のパーツで、これを天井目一杯まではさみ、天井と本棚の間を突っ張ることで地震の揺れに対抗する仕組みです。
本棚の本体とフィラー板は、専用の金物でジョイントします。
壁や天井に傷をつけることなく設置できるので、L字型金物が使用できないお住まいで採用しています。
フィラー版は、天井と「面」で接触し、複数の縦材を使用するため、天井と「点」で接触する突っ張り棒と比較すると、より安定性があります。
また、吊り下げ天井(天井と上階もしくは屋根裏との間に空間があるタイプ)の場合、釣り下げられた天井の部材を突っ張り棒が押し上げてしまったり、しっかりと下地に当たらなかったりすると、十分に固定されない可能性があります。
特に事情がない場合は、同梱している転倒防止金具で壁に固定していただく事をお勧めしていますが、賃貸住宅で壁に傷をつけられない、新築で壁に傷をつけたくない、といった事情がある場合は、転倒防止のための固定方法として「フィラー板」の利用をおすすめします。
フィラー板は転居や移動の際にも便利
将来的に、転居の可能性があったり、本棚を移設する可能性もあるでしょう。
マルゲリータ「Shelf(シェルフ)」は、組立式のため、解体して移動して転居先や移設先で組み立て直すことができます。
ただし、移設した先で天井の高さが同じである可能性は高くないでしょう。
そうすると、もともと天井までぴったりだった本棚が、天井の高さと合わなくなります。
その場合、「フィラー板」を「高さ調節材」として利用することができるのです。
移設先の天井を測定し、組み立て直したマルゲリータ「Shelf(シェルフ)」が天井の高さにぴったり合うよう、改めて作成した「フィラー板」を天井との隙間に挿入します。
これによって、移設先でも地震による転倒防止対策をすることができます。
もし、移設先で壁への固定が可能な場合は、そのまま壁に固定してお使いいただくことももちろん可能です。
【事例】マルゲリータ『Shelf(シェルフ)壁一面の本棚』の地震対策をご紹介
お伝えしてきたように、マルゲリータでは高さのある本棚『Shelf』の転倒防止対策として、「フィラー板」を使用しています。
本棚自体を壁に固定する方法で転倒防止対策を行うこともできますが、壁に穴を開けたくないケースでは、この「フィラー板」が有効です。
実際に設置されたお客様の事例を取り上げ、具体的な対策の方法をご紹介します。
地震対策の事例① 賃貸の場合の転倒防止
出典:マルゲリータ公式サイト https://www.margherita.jp/user/file_574/
こちらのお住まいは賃貸住宅で、退去の際に原状回復の義務があるため、天井や壁を傷つけずに転倒防止対策を行いたいとのご希望がありました。
そのため「フィラー板」を採用しています。
フィラー板は、本棚の縦材と同じ厚みの板材です。これを本棚の上部と天井の間にぴったり差し込みます。これによって、地震の揺れが起こった際に天井に引っかかり倒れにくくするという仕組みです。
地震対策の事例② フィラー板による天井までの本棚
出典:マルゲリータ公式サイト https://www.margherita.jp/user/file_554/
こちらは新築マンションに、導入した事例です。
写真は、フィラー板を設置した後の状態です。縦材の上部に線が入っているところが、本体とフィラー板の境目になる部分です。下から見ると、ほとんどつなぎ目がわからず一体に見えます。
本棚とフィラー板はジョイントでつなげており、横揺れが起きても外れることはありません。
地震対策の事例③ フィラー板による転倒防止
出典:マルゲリータ公式サイト https://www.margherita.jp/user/file_552/
こちらは、オフィスに導入した「Shelf」にフィラー板で転倒防止対策を行なった事例です。
将来的に模様替えが予定されており、位置を移動することがわかっていたため、本棚を壁に固定するのではなくフィラー板による対策が採用されました。
地震対策の事例④本棚の高さを調節する
出典:マルゲリータ公式サイト https://www.margherita.jp/user/file_508/
マンションの子供部屋に設置した本棚に、フィラー板による転倒防止対策を行いました。
壁に穴を開けたくないというご希望に沿うため、フィラー板を採用しています。
設置の際には、収納する本やぬいぐるみを全て本棚に入れていただき、自重で沈み込んだ状態でフィラー板のサイズを調整します。
天井までぴったりと合わせることにより、地震時にも揺れに耐えることができます。
まとめ
今回は、本棚の地震防止対策をご紹介しました。
災害時に、倒れてきた本棚や落下してきた本でケガをしてしまったというケースは、意外に多いもの。
万が一の地震に備えるには、本棚をしっかり固定することが基本です。
壁に穴をあけられない場合にも、対策できるアイテムをうまく活用すれば転倒を防ぐ効果が期待できます。
大きな本棚を導入する際には、この記事でお伝えした対策を採用してみてください。
マルゲリータ公式サイトでは、大容量本棚のShelf(シェルフ)を導入していただいたお客様のご自宅、オフィスでの地震対策の事例を多数掲載しています。耐震性のある本棚を検討されている方はぜひ一度ご覧ください。
マルゲリータ公式サイト 事例紹介ページ『FILES』 https://www.margherita.jp/user/
SERIES02
本棚の転倒防止
このシリーズではマルゲリータ本棚の地震対策についてまとめています。