八島和浩氏の初めての個展WANDOが去る2021年1月14日まで銀座の富士フォトギャラリーで開かれました。
「wando」とは、津軽弁で「私たち」や「対岸、川の淀み」などの意味があります。八島さんは仕事で訪れた青森の風景に魅了され、以来、主に青森の風景を撮影しています。しかし、県外出身の八島さんが地元の人々と接する中で感じたものは、少し異なる印象でした。この展示は、写真家が見た「wando」の風景を表現しています。
青森の人にしかわからない世界を、外から見るとどう映るのかを考え、写真を通してその背後にあるものを読み取ってもらえれば。それが写真家としての仕事です。
これはその時の記録。写真は全て「Frame ピクチャーフレーム SANO A1サイズ」におさめられていて、壁面に対して完全に平行、かつ展示物の水平レベルを保った構成になっています。
この写真展の会場構成の大きな特徴は、黒を基調とした壁です。一般的に展覧会の背景は白が多いですが、ここでは黒バックを使用し、アートフレームには限りなく白に近いアッシュを用いて、作品を際立たせています。八島さんが外から見た青森は、暗闇の中にぼんやりと浮かぶ微かな光のようです。その光が、会場全体の暗い構成の中で見事に表現されています。この独特の空間が、観る人に印象的な体験を提供します。
アートフレームという言葉が一般的になったのは比較的最近のことです。従来の額縁は油絵の保護や装飾を目的としていましたが、アートフレームはポスターや写真など手に入りやすいアート作品が中心です。「額装する」、「フレームに入れる」という行為には作品への敬意が込められています。額縁が絵の視覚効果を高めたように、少なくとも作品の価値を損なわないようにすることが重要です。
またこの額縁は紐を使わない吊り下げ方式なので、壁に簡単に掛けられます。フレームの反対側を覗く必要がなく、壁に取り付けたフックにフレーム本体を引っ掛けて使用するため、背面の紐が見えたり、緩んで位置が変わる事もありません。さらに、展示の位置が非常に決めやすく、フックの取り付け位置だけで調整ができるため、思い通りの場所に正確に展示できます。また、フレームが傾くことなく、壁にしっかりと密着して設置できるため、見た目も美しく、安定感があります。これにより、展示作品の魅力を最大限に引き出すことができます。
八島和浩
写真家。1979年福島県生まれ、埼玉県在住。2016年より仕事で訪れるようになった青森県の情景に魅了され独学で写真を始める。主に青森の風景を撮影している。
・「The International Photography Awards 2020」:HONORABLE MENTION
・「Tokyo International Foto Awards 2020」:Bronze Winner /HONORABLE MENTION
・第56回富士フイルムフォトコンテスト:銅賞
・東京カメラ部「日本写真100景」選出 2020
・アサヒカメラ×東京カメラ部「日本の47枚」選出 2019
・EXCERIA×東京カメラ部 『未来に残したい、京都』EXCERIA PRO賞
尚、写真展WANDOのプロデュースは、アートディレクター・装丁家の三村漢さんが担当されました。
三村 漢
アートディレクター・装丁家。1978年横浜市生まれ。
三村淳デザイン事務所を経て、2008年niwanoniwaデザイン&編集事務所設立。
写真集や装丁、広告デザインや写真展構成、ブランドのアートディレクションなど。写真ディレクションを得意とし、企画から印刷、販売まで関わることで、残るデザインの作り方を提唱。
主な作品に、星野道夫『星のような物語』、植田正治『小さい伝記』、中西敏貴『ORDINARY』他、鈴木一雄『サクラニシス』など装丁・写真集多数。
2017年よりリコーカレンダーのディレクション。日本大学藝術学部写真学科講師・カロタイプ講師。ninegallery主宰。
この事例と関連するプロダクト
木製額縁。写真や絵を飾るフレームからCDやレコードを飾るジャケットフレームまで。
その他の事例を見る