都内のマンションをこの度リノベーションしてお住いのお客様です。
子供のころからの大量の蔵書を納めるべくリビングの天井まで梁型をかわしながら壁面を「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」で構成されました。壁一面の本棚を念頭に置きながらとのお話、コンパクトで使いやすい生活空間となっています。
蔵書を満載に収納
本件では、大量の蔵書をどのように本棚に納めるかという課題に取り組んでいます。本棚のセルには、コミック本や文庫本、単行本などが縦横に積み上げられ、隙間なく整理されています。マルゲリータの本棚は、縦横の棚板が短いスパンで嵌合されており、セル内に重い蔵書を満載しても棚板がほとんど撓みません。そのため、大量の本を安心して収納できます。
本棚のセルの内寸は、高さ320mm、幅315mm、奥行き250mmであり、文庫本やコミック本、新書、一般的なA5判の本などを前後2列に収納することが可能です。文庫本は上下2段に重ねてセルの高さいっぱいに収納することもできます。並べた本の上に横にして積み重ねることで、空間を最大限に活用し、大量の蔵書を効率よく収納しています。
A4のファイルや雑誌などは、背表紙を揃えてセル内に整然と収納されています。横方向に繰り返される一定間隔のリズム感が、視覚的に心地よい景観を生み出しています。最下段には、重いファイルやアルバムが直接フローリングの上に置かれています。これにより、フローリングを滑らせて容易に出し入れすることができます。大きな本は本棚の奥行きから少しはみ出していますが、高さのある本棚全体を俯瞰すると、低い位置に重心が置かれたように感じられ、安定感が増して見えます。
本棚の高い位置には、梁の形に合わせて修正されたセルが並んでいます。ここには、CD、カセットテープ、VHSビデオテープ、MDディスクなど、手放すことのできない大切な物が収納されています。これにより、本棚全体が機能的でありながら、視覚的にもバランスの取れた収納スペースとなっています。
大きな窓から差し込む陽光が、壁面に水平線と垂直線が組み合わさったグリッドパターンを浮かび上がらせます。本棚に収められた多彩な背表紙の本が、複雑に混じり合った色の面を形成し、そのままでは乱雑で不安定な印象を与える可能性があります。しかし、明るい木の色による連続した格子模様がこの混色の面を覆うことで、壁面全体が落ち着いた印象に見えます。
リノベーションの目的は、子供の頃からの大量の蔵書を収納することでした。本棚の中にはこのお客様の知的好奇心が時間をかけて広がっていった様子が込められています。このような蔵書は常に手元に置き、いつでも手に取れるようにしておきたいものです。壁一面の本棚は、その考え方に沿っています。
さらに、室内に入ってすぐの場所には、セルの中に小さな引き出しをセットし、文具やメガネなどの細々とした物の定位置としています。この位置は目につきやすく手に取りやすいため、リビングでの本棚の実用性が存分に発揮されています。
最上段に一部は、梁の高さを合わせるために上部をカットしてあります。この壁面には上から2段目に当たる部分の背後に梁があって150mmほど張り出しています。この梁型をかわすために縦の棚板の背面がカットされています。本件ではマルゲリータの本棚の特徴である四隅のブレース材のうち、上の2本が通常とは違って上から3段目のセルに入っています。2段目のセルは梁型をかわすためのカットが入っているために、強度を確保するために調整しました。床から天井までを覆う大きな壁面に個性的な表情が出来上がっています。
色彩
リノベーションの際、マルゲリータの本棚の導入を前提として計画され、全体のモノトーンのインテリアに本棚が自然に調和しています。室内のフローリングはチャコールグレーの抽象柄のソフトタイルで、縁取りの黒い巾木が視界を引き締めています。本棚に並行して設置されたカウンターの素材、および本棚と直行する面に取り付けられたオーディオラックは、本棚と同系の明るいカラーの木目素材を使用しています。白い壁面と天井、濃色の床、明るい色の木材の色と呼応し、さらに黒いテレビの画面とオーディオセット、カウンター上のクッションや時計の文字盤がアクセントとなっています。白いカーテン越しの光に包まれた室内は、モダンでおしゃれな雰囲気を醸し出しています。
このように、素材やカラーの選定に細心の注意を払い、モノトーンの中に適度なコントラストを加えることで、洗練された空間が実現されています。
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壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
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