マンションモデルルームに設置していただいた事例のご紹介です。
以前も、この「Shelf 開口部のある本棚」を、マンションモデルルームの全く同じ位置に、同じ仕様で導入していただいたのですが、一部分を特注仕様に制作し直して、そのモデルルームに交換設置されました。
特注でミラー背板を取付け
縦7コマ×横7コマの壁一面の本棚の、下から3段目と4段目、真ん中にあたる3列の部分に、開口部が設けられています。もともとこの本棚は縦材と横材を嵌合させることで形成されているために、背板が無いことが大きな特徴ですが、本件では、開口部の上の段に当たる、下から5段目に、ミラー背板を取り付けています。
このミラーによる効果は想像以上に大きく、まるでそこに窓があって隣の空間まで繋がっているかのように見えます。
本棚の背景となる壁は、淡い曙色のアクセントウォールになっています。ミラーによる空間が抜けたように見える錯覚と、本棚を透かして少し見える色彩によって、部屋の空間に奥行きを感じさせる面白い効果があらわれています。
光と影のバランス
室内は自然光で撮影しています。向かって左側から入る光が、本棚の設置された壁面に柔らかい影を作っています。左右の白い壁と本棚の両端の棚板が作る影が最も濃くなっていて、部屋に深いニュアンスを与えています。
色彩のバランス
棚板の奥行きによる影と、棚板の見付(※)が形成する格子柄の細いラインとが、アクセントウォールの柔らかい色彩面になじんでいます。本棚の素材であるシナ材の明るい木の色が、アクセントウォールの色と壁と白い天井を繋ぐステップになっているため、それぞれの面が自然に結びつけられて、自然な居心地の良さが作り出されています。
(※)正面から見たその部材の幅
開口部の使い方
実際にお住まいになる場合には、開口部はテレビモニターなどを配置することが想定されますが、ここではモデルルームならではの住まい方のアイデアの提示として、額装されたアートワークなどをディスプレイするスタイリッシュな空間にしています。選んだアートワークは白をバックにした空気感のあるデザイン、その前に置かれたオブジェは小さな地球儀、地球儀よりも大きな塊で存在感を示す個性的なエアプランツなど、静的な空間にフォルムによる遊びを取り入れて、視覚的な躍動感をひそめさせています。
背景になる壁の色と植物の色とは補色の関係ですが、彩度を抑え、くすんだ色合いに統一されているため、騒がしい印象にはなっていません。
開口部の補強材の色彩と呼応した地球儀の台座とエアプランツを載せた洋書がアクセントです。2冊の洋書の背表紙の濃いブラウンのトーンが壁の色とのグラデーションになっているのもそのコーディネーションの質の高さが感じられます。
「緑」の使い方
モデルルーム全体に観葉植物が取り入れられています。マルゲリータのグリッドデザインと観葉植物との相性がとても良いことがよくわかります。無塗装の木材の表面は、室内に置かれた植物にとって安らげる気配を作り出すのでしょうか。本棚に置かれた鉢だけでなく、天井のレールから下げた鉢から下垂する植物、床に置かれたアイビー、本棚に対面する窓際に置かれた背の高い鉢植え、キッチンのシンク付近に置かれた鉢など、お部屋全体に植物の生気が感じられ、このお部屋での暮らしが安らぎに満ちていることを予感させてくれます。天井までいっぱいに届く高さの本棚に下垂する植物を配すると、上下に誘導される視線の流れが背後の棚のグリッド線と心地よいリズムを作っていきます。
ミラーの背板を取り付けた、下から5段目の2つのセルに観葉植物が置かれていますが、ミラーの効果でボリュームが倍増して見えています。開口部の中央で印象的に使われているエアプランツは、風通しの良い日陰を生育場所として好む性質の植物です。数日に一度ほどの頻度で本棚から鉢を取り出して霧吹きで水分をかけてやると、きっとよく育つでしょう。
ラグとベッドカバーのファブリックの緑色も、生命力を感じさせるコーディネートです。テーブルの上のポットと、本棚の開口部の周辺に置かれた飾り皿と花瓶は、黄色のアクセントとしてこのお部屋に明るい力強さを加えていて、非常に印象的です。モノトーンや生成りの濃淡などは、一般的に取り入れやすい色使いですが、この事例の色使いはぜひ取り入れてみたくなるアイデアです。
本棚の機能
壁一面に本棚が設置され、マンションの壁面に収納スペースが付け加えられています。この本棚は堅牢な構造で、重い書籍などをしっかり収納しても棚板がたわまない丈夫さが特徴です。開口部は、補強材によって支えられているため、開口部の上のセルも他のセルと同様に重いコンテンツをしっかり収納することが可能です。
この事例では、ミラーの背板が作り出す空間の錯覚を活かすために、ミラーの前には敢えて書籍などを置かず、あくまでディスプレイスペースとして使っています。
天井に近い、上から2段目のセルに置かれた自転車のオブジェは、和室の欄間の彷彿させます。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
SERIES17
アクセントウォールを背景に
このシリーズではアクセントウォールにマルゲリータの本棚を置く際の特徴などを実例をもとに紹介しています
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