FILE 795

打ち放しコンクリートに囲まれた男の部屋 Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm

【File 795】打ち放しコンクリートに囲まれた男の部屋 - Shelf 壁一面の本棚 奥行 350mm - マルゲリータお客様の声

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都心に位置する5階建ての戸建て住宅にお住まいのお客様です。その中のワンフロアは、御自身の趣味である音響機器、LPレコード、楽器、ワインセラーに囲まれた、まさに孤高な空間です。この空間が独自の心地よさを感じさせる理由は、部屋の中央に広い空隙が広がっており、それが機能的な起点ではなく、単に「空」を保つためのものであるかのように見える点です。まるで神聖な空間かのように感じられ、その中央の広がりが様々な音響機器に向かう起点となっているわけではなく、ただ一途に「空」を保っている様子が印象的です。これは大袈裟かもしれませんが、その効果は神秘的とも言えます。

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この空間は、中央に広がる空間を持つ一方で、その目線の位置は大陸的な特徴も備えています。中央に空間を有するのは日本的でありながら、その目線の位置は大陸的でもあり、さらにそこに敷かれているトライバルラグ絨毯がエキゾチックでありながら周囲の沈んだコンクリートの表層と相まって燻銀的な気配を漂わせます。

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リスニング用の長いソファと同列にギター、アンプ類も点在、少し離れた位置にLPレコード棚が置かれています。レコード棚は「Shelf 壁一面の本棚 奥行 350mm」を3列幅でそのうちの1列の幅を詰め壁際に置いて窓に干渉しないサイズに加工されています。更にグレー色に塗装されたレコード棚は打ち放しコンクリートで囲まれた周囲に溶け込み、注意しないと気付かないほど静かに沈んだ存在となっています。

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レコード棚を塗装する

マルゲリータの「Shelf 壁一面の本棚」は、シナランバーコア合板を素材として採用しています。この本棚は、縦材と横材に相互に切込みを施し、それを嵌合させる形で組み上げられています。なお、この本棚を塗装する場合には、以下の2つの手段があります。

部材の段階で塗装する

この方法は、塗料の歩留まりがよく、素材全般に均等に塗料が行き渡るため、塗り残しが少なく、統一された美しい塗装面が得られます。ただし、交互に嵌合させる箇所においては、そこに塗料が残ると適切な嵌め込みが困難になります。特に、これらの箇所に数カ所にわたり塗料が残留すると、わずかな塗膜の引っ掛かりが積み重なり、嵌合が極めて困難になります。
このような問題を防ぐためには、自然塗料系の塗膜の薄いものを使用し、特に嵌合させる切り欠き部分の内側(組み合わせた際に見えなくなる箇所)への塗料の付着をできるだけ避ける必要があります。これにより、塗膜の引っ掛かりを最小限に抑え、スムーズな嵌合を実現できます。

組み立てた後に塗装する

この方法では、前述のような嵌合に支障を来たす心配はありませんが、塗装が全てコマ内部に限定されるため、刷毛でそれを全て均等に塗布していく作業は非常に手間がかかります。さらに、横板の半分以上が上向き(天井面)の塗装になるため、その体勢を維持することも一苦労です。これにより、塗料の歩留まりも自然と低下します。さらにもう一つの課題として、入隅部分に付着した塗料が硬化すると、その箇所が仮止めのような形になり、将来的な解体が難しくなる可能性も残ります。
こうした「組み立て後の塗装」には多くのネガティブな要素が絡む一方で、全体が徐々に形を成す様子を見ることで得られる達成感は、これらの苦労を一掃するものとなります。

シナ合板は、一般的な木材と比較してヤニの分泌が少ないため、シラー処理を施さずに直接塗装することが可能です。この性質により、特に自然塗料を用いる際には、木目を表面に残しつつ仕上げることができます。本件の場合、この様な過程を経てもグレー色に本棚を塗装された目的はあくまで周囲の打ち放しコンクリートの色調に近づけるためです。結果的にその塗装は功を奏しそのものの存在に一瞬気がつかない程その室内に溶け込んでいます。

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