港区にある設計事務所です。中央に作業机、両側にShelfシリーズ「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」が配置され、限られたスペースを最大限に利用されたオフィスレイアウトになっています。
小規模オフィス
ここでは小規模オフィスそのものを次の様に考えます。
・スタートアップ企業やベンチャー企業の様に外部からの資本提携を受けていない。
・SOHOオフィスや自宅を仕事場とするよりは規模が大きく少なくとも複数のスタッフが働いている。
・シェアオフィスやコワーキングスペースといった場所不定のオフィスではなく、少なくとも住居用のマンションではない建物にオフィスを構えている
スタートアップ企業やベンチャー企業の様に外部からの資本提携も受けそれなりにオフィスをプレゼンテーションの場とするが如くコストを気にしないでオフィス空間を作れる企業の場合はオフィスデザインにそれなりの資本投下は出来ます。しかし小規模オフィスで最低限のスペースと最小のツールで事務所を運営する場合、その際のオフィス空間のあり方をここでは考えてみます。いわゆるスタートアップ企業の生き残りは3年後には1割を切っていると言われていて、約9割が会社を続けられなく財務破綻をしているという現実があります。
もちろんそれだけではありませんが財務破綻の一因には過剰なオフィスの演出があると言っても過言ではありません。オフィスデザインに係る費用はほぼその同額に近い金額が撤退の際にかかります。しかもオフィスデザインにかかる費用はBS上では資産ですが実は何も産まないどころか撤収時に同額近い費用がかかるというとても資産とは言えない財産です。
スタートアップ企業が実はこうしたトラップにはまっているという事実を踏まえた上で生き残るための小規模オフィスを考えたいと思います。オフィスの目的はあくまでその仕事をするためのものでオフィスデザインを立派にするためのものではありません。
コストをかけない
会社をスタートする際にそのオフィス空間にはコストは掛けない。それはある意味当然です。しかしクライアントとの打ち合わせ、スタッフのリクルーティングを考えた場合最低限の設えは必要です。その広さはすでに決まっているとするとそこに置かれる家具のコストは抑えられなければなりません。
そのコストを抑える際の考え方として
1台2役がこなせる
例えば本棚であり間仕切りである、会議テーブルであり簡単な作業もそこで出来る、と言ったの一つの家具が二つ以上の機能を普通に使える、こういったそこでだけ成立させる多機能家具の要素を持たせると意外と空間は有効に使えます。その効果は面積、すなわち家賃に出てきます。意外と気づかれていない手法です。
増殖ができる
本棚であれば収納量が足りなくなってきた際には上部に、または水平に増殖してその収納量を追加できることが好ましいです。増殖した際に付け足した感覚がなく自然な形で増やしていけるのが一番いい方法です。
持って引っ越せる
オフィスが手狭になった際に解体して次のところに持っていける。これは意外と効果があります。現有の家具がありそれを捨てて新しいオフィスで違う家具を購入する場合、単純に新しく購入する家具の費用だけでなく古い家具の廃棄費用が生じます。エコロジカルな側面からもある意味当然と言えます。
工事をしない
室内の解体、内装(床、壁、天井)の仕上げ、水回りに関する工事はある意味止むを得ません。止むを得ないというのはどうしてもそれが必要な場合のみ工事をしてもらうしかないということです。もっと言えばそういう工事が生じないように抑えていくことが大事です。しかしそれ以外に関しては突き詰めて考えると工事の必要はなく置くだけで終わる可能性のある内容です。オフィスデザインを極力コストを掛けずに実行するのはここが大きなポイントになります。
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壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
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