島根県邑智郡邑南町にあるGRamping & Snow Resort 瑞穂ハイランド様に「Shelf 壁一面の本棚 奥行350mm」を導入いただきました。
レストラン、ショップ、ロッカーを兼ね備えたロッジのエントランスにあるイベントスペースには、5台の本棚が扇型に連続して配置され、リゾートホテルのラウンジを緩やかに間仕切っています。この5台の本棚の両端は壁面に固定され、その間の3台は左右連結されて並んでいます。そのうちの1台はアナログレコードプレイヤーを置くために2コマ分を空け、さらにその両側の列には背板をセットして、ブレース板なしでも平面的な剛性を保っています。
グリッドを通した世界
本件は、グリッド状のセルを通してその向こう側を見通せる、非常に独特な事例です。このリゾートホテルの設計において、ロビーから見渡せる外の風景は大きな魅力の一つです。特にスキーリゾートでは、ラウンジからゲレンデを見渡す視界が重要です。視界をフルに開いて広げる方法、ピクチャーウインドウのように絞った状態で見せる方法、あるいはこのようなグリッドを用いて見せる方法が考えられます。
日本建築の暗喩
このラウンジの空間ボリュームが大きいため、連続して配置された本棚は全体に対して屏風のようにも見えます。マルゲリータの本棚は基本的には書籍や様々な物を収納するために存在し、そのセルを埋めるためのものです。一方で、背板がないため向こう側が普通に見えます。もし向こう側が室内のアクセントウォールであれば、その色が点在的に見え、それなりの効果があります。
本件では、原則として物を収納せずにその向こう側を見せるという、これまでにない使い方をしています。これは日本建築における格子の使い方に非常に似ており、手前の格子がありながら向こう側の気配をぼんやりと映し出すような効果があります。また、日本独自の屏風状の配置にも通じるものがあり、日本建築の室内エレメントをメタファーとして、その2倍くらいのスケールに再構築した試みと言えます。
こうした理由からこの本棚は本棚というよりディスプレイとしてモノのシルエットを見せながらそれらを点在する様に置かれています。
背板がある列に挟まれた1列は幅を少し広げアナログレコードプレイヤーとアンプが置かれ、その両側には棚板を省いた形で縦にセルを連続させトール型のスピーカーが2台並べて置かれています。スノーリゾートとアナログ音響機器というどこか結びつく様なツールです。
扇形に包み込む様に置かれた本棚に囲まれたスペースにはイームズの椅子が点在しています。本棚のグリッドと呼応するかの様なそれぞれが異なる色の座面で彩られています。
瑞穂ハイランド
瑞穂ハイランドが位置する島根県邑智郡邑南町は、島根県の中央にあり、農業を基幹産業とする人口11,101人の小さな町です(H27国勢調査による)。この町には、年間限定200頭の未経産黒毛和牛「石見和牛」を生産する業者や、牛舎を持たず完全自然放牧に取り組む酪農家、チョウザメ養殖業者、ピオーネ、さくらんぼ、ブルーベリー農家など、小規模ながらも特色のある生産者が点在しています。
瑞穂ハイランドは、中国地方を代表する規模を誇り、ハイランドサイドとバレーサイドの2つのエリアで構成されています。中でも全長1,000mにわたるスノーパークは圧巻で、初級者ゾーンと中・上級者ゾーンに分かれており、レベルに合わせて楽しむことができます。
瑞穂ハイランドは、西日本最大級の広さを誇り、新雪の深雪や快適な滑走を楽しめるのが特徴です。バレーサイド(2022年末オープン予定)は、深雪が楽しめ、多彩なコースバリエーションが魅力です。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
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