東京都江東区の高層マンションにお住いのお客様、新居への引越に合わせて「Shelf 壁一面の本棚 奥行き350mm」縦7コマ×横7コマを導入していただきました。実は、設置するときに梁下のクリアランスがないことが発覚したため、急遽縦材の一部をカットして調整して納めることになりました。その甲斐あって、梁下目一杯のサイズの壁面収納が完成しています。
フィギュアのディスプレイ
フィギュアは、平面上に描かれたキャラクターを立体化したものであり、その存在感にはファンタジーの要素があると同時に、どこかフィクションの雰囲気が漂っています。フィギュアのコレクションを透明なアクリルケースに収めたり、背面にミラーを設置して後ろ姿も楽しんだりする方法もありますが、その際、映り込む現実の要素がイマジネーションを妨げることもあります。
しかし、本事例のように、木製の本棚の規則正しいセルに1つずつフィギュアを配置すると、透明ケースとは異なる印象を受けます。各セルが、まるでキャラクターが元々存在していたコミックのコマの延長線上にあるかのように感じられ、フィギュアの持つ三次元的な魅力が一層際立ちます。特に、最上段の大きなフィギュアが持つ武器がセルの枠を超えている様子は、まるでコミックの中でキャラクターが力強く決め台詞を放つ際に、枠線を飛び越えて描かれている場面を思い起こさせます。まるで、コミックのページそのものが立体化されているようなダイナミックさを感じさせる配置です。
本棚の造り
マルゲリータの本棚は、厚さ15mmの縦板と横板それぞれに切れ込みを入れて嵌合させて形成されています。両脇の側板と横板とは最小限のボルトで固定されており、ボルトによって両脇から挟み込まれるような力が働いています。ボルトの頭が整然と並ぶ様子は側面のビジュアルのアクセントになっています。本棚の四隅のセルにはブレース材が置かれて全体の平面方向への剛性を確保していますので背板を設置する必要がなく、本棚を透かして壁が見える構造になっています。本件では、右端の列の一番下の壁面コンセントがあり、これを活かすために通常は最下段に配する2枚のブレース材を下から2段目に置いています。本棚の背面には巾木よけのカット加工が施されているため、背後の壁にぴたりと沿わせて設置できます。縦板と横板とは短いスパンで固定されているため、荷重に強く、重いコンテンツをたっぷりと収納しても棚板にはほとんどたわみが生じることがありません。
グリッドに覆われる
シナ合板の明るい色の木材で軽やかなグリッドが組み立てられて壁一面を覆っています。マルゲリータの本棚は、棚板を動かして高さや幅をコンテンツに合わせて収納するタイプの本棚ではなく、整然と並ぶ棚板が形成する固定されたグリッドにコンテンツを当てはめていく本棚です。この、揺らがないグリッドこそがこの本棚の真髄です。ここに収納されるモノは、幅325×奥行350×高さ325mmの空間の中に居場所を確保し、床から天井まで垂直に積み重なって、大きな壁面を覆っていきます。
生活の時間の経過とともに本棚全体にコンテンツが充填された状態になっていくと、本棚は次第に密度を濃くして存在感を強くしていきます。納められた蔵書の背表紙やLPレコードやCDの背などの個々に注目すると、様々な色や形をしており、それらは集積して複雑な集合体になり、それがさらに壁の前に床から天井までを覆って垂直に積み上が利、混色の画素による雑然とした面が形成されていくのですが、その外観の最前面には常に棚板の見付によるラインが現れてきます。このラインによって外観は沈静化され、壁面は奥行きのあるタペストリーのような統合された状態へと進化していくのです。
今後、この本棚には本を並べられる予定とのことですが、まずはコレクションのフィギュアをずらりと並べて、本棚の活用第一歩とされた様子を撮影しています。
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壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
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