都内の戸建て住宅にお住いのお客様です。
書斎に「Shelf 壁一面の本棚 奥行250mm」をベースにカスタマイズした本棚を兼ねた壁面収納を室内4面に設置いただきました。
部屋の4面に複数の開口部(入口ドア、窓、クローゼット扉)がある状態を活かして、4面すべてを壁面収納にした事例です。部屋のコーナーや窓下を効果的に利用し、在宅勤務のためのワークスペースを作り上げました。これにより、ONとOFFのスペースを明確に分けられるコンパクトな書斎が実現されています。
背板仕様の壁面収納
マルゲリータの本棚の基本デザインでは、背板がなく、四隅のセルにブレース材を入れています。これにより、放射状に広がるビジュアルが特徴ですが、主な目的は本棚の水平方向の剛性を保つことです。本件のようにスペースの制約があり、ブレース材を用いると収納スペースが圧迫される場合には、縦に細長い本棚1列に「背板を付ける仕様」とすることがあります。背板仕様にすることで、ブレース材がなくても壁面収納の水平方向の剛性を確保することができます。
コーナー役物を用いた構成
入口の引き戸を開けて左手の壁面に、梁まで届く高さの縦6コマ×横2コマの壁面収納を設置しました。この壁面収納に直行する壁には腰窓があり、その窓の下には縦2コマ×横6コマのロータイプの本棚を配置しました。窓下の本棚は右端の1列だけ縦に伸び、5段の棚になっています。この列の最上段は壁面の通風口を塞がないように棚板をカットして高さを調整しています。
この2台の壁面収納は、窓下の本棚の左端のコマを奥に伸ばす形状にし、「コーナー役物」の仕様を介して配置されています。この部分には縦の棚板が配置され、本棚の剛性を高めています。袋状になっているこのセルは、入隅コーナー部分にデッドスペースを作らずに、多少出し入れがしづらいものの、収納スペースとして活用できます。また、一番下の段では書籍などが直接フローリングの上に置かれており、重いファイルや大型の書籍が引き出しやすいように配置されています。
窓を生かしたレイアウト
正面にあたる壁面には、左上部にエアコンの室内機が設置されています。この壁面にも腰窓があり日中は陽光が入り、その窓を取り囲む形で壁面収納を設置してあります。エアコンの下には縦5コマ×横2コマの本棚が設置されています。すぐ前にある5段の棚と同じ高さです。この本棚の幅はエアコンの幅と同じです。この幅に収めるためにコマの幅を通常よりも広くとってあります。この本棚の右側の列も「背板仕様」になっています。
窓の下から右側の窓枠までを囲むように縦2コマ×横7コマのLの字を横にしたような壁面収納が設置されています。窓下の低い部分は縦2コマ×横5コマ、右端の2列の上部が縦に伸びて、縦7コマの背の高い本棚になっています。背の高い部分のコマの幅は、設置スペースに合わせて通常よりも狭く調整されています。この部分の右側の列にも背板がついています。
壁面収納の前に配置されたデスクと本棚の上に置かれた半透明の収納ボックスが重なり合い、作業と収納の機能が立体的に組み合わさったスペースが形成されています。最下段には縦横に蔵書が積み上げられ、中央の棚板に沿って黒いコードが配置されています。窓下に置かれたブックスタンドは、デジタルデバイスを立てておく収納ステーションとして機能しています。この一角は、広い作業台を備えた使い勝手の良いワークスペースとなっています。
作業用の広いデスクと背中合わせになる形で、もう一台のデスクが配置されています。このデスクにはコンピュータのディスプレイ、キーボード、プリンタが置かれ、メインのワークスペースを形成しています。キャスター付きのチェアを自由に動かすことで、二つのデスクを縦横に活用できる配置になっています。
突き当たりの壁面にはビルトインクローゼットの扉があり、衣類などワークスペースにそぐわない物はこの中に収納できます。デスクの正面の壁には引き戸があり、デスクに向かって座ると左側の壁面と正面の壁面に、2台の壁面収納をL字型に設置しています。いずれも縦6コマ×横3コマの本棚ですが、設置スペースに合わせてセルの横幅をそれぞれ調整しています。
2台の壁面収納が重なるL字型の屈曲部分では、デスクと並行する本棚の棚板を奥に伸ばし、スペースに合わせてサイズを調整し、伸ばした部分には背板を追加しています。最上段は梁にかかるため、棚板の背面にカットが入っています。3列の本棚では、右側の列に背板がついており、クローゼットの隣に設置された本棚では、左端の列に背板が入っています。
デスクは左側の壁面収納から少し離して設置されているため、L字型の屈曲部分の奥にも手が届きます。この重なった部分は奥行き250mmで、書籍だけでなくCDのスピンドルケースの置き場所にも適しています。また、このコーナーには厳選された参考書やテキストが整然と配置され、デスク前の視界を常にクリアな状態に保っています。
デッドスペースを作らない
この2台の本棚はコーナー役物を介して連結されています。正確には片側の端部をコーナー連結用の加工を加えてこの様な形で繋いでいます。本棚がコーナーで直角に接する場合どうしても反対側にデッドスペースが生まれるかあるいは片方の一列を塞ぐか、という選択になります。ここではコーナー役物を使う事により本棚としては若干使いにくい部分も生じますが、デッドスペースとして使えない箇所を生じさせない造りになっています。
この事例と関連するプロダクト
壁面を天井まで最大限に活用できる壁一面の本棚。専用の収納ボックスもある組み立て式。
SERIES22
3面本棚
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