本や本棚のない人生など考えられません。
量の多い少ないを問わず、書棚のない家、本のない部屋など想像ができません。
読んでしまったら二度読む本はそうそうないのだから処分しても惜しくない。
いざ必要となれば買い直せばいいのだし、図書館で借りることもできる。それもまっとうな意見です。
読まないまま長く積ン読にしている本など、この先もきっと読まないのだからためこんでどうする。
それもまたごもっともです。
確かに部屋の四方を壁に本棚を並べ、二部屋を本棚でつぶし、それでも本があふれてリビングや、寝室に山積みになっている我が家の様子を他人の目で見直すと、ぞっとするときがあります。
なにやら自分の頭の中や、はらわたを見る思いです。言葉を変えれば自分の血肉、自分の歴史を見る気がします。
自分の血肉だから捨てられません。これらの本どもが私自身を作っていると思うと、処分する気になどなりません。
読まない本も私の一部です。関心のおもむくままに買ったけれど読まずにうっちゃってはあるけれど、たとえちょっとした気まぐれであったとしても関心を持ったということを記憶に残すために、捨てたり処分したりはできません。
本のない部屋、本棚のない家は、家の主の顔が見えません。この人が何をどう考えて、どんなことに興味を持って生きてきたのか、その足跡が見えません。
顔が見えないのっぺらぼうか、足跡の残らない幽霊か、いづれにせよその人となりが知れません。
本と本棚と書斎のある生活は私が私らしくあるための生活です。
それなくして、今の私はなく、今の私がないならば、将来の私もありません。
住環境の制限で書斎を持てない家は多数でしょう。本棚よりもタンス、クローゼットといった他の家具を優先することも多いでしょう。
ぜいたくを言うつもりはありません。
カラーボックス一つでもかまわないのです。
たとえそれがミカン箱一つであったとしても、本を並べる場所さえあれば、そこに私という人物の足掛かりができるものです。
margherita 東京ショールーム
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