私は本が好きだ。
そして、本棚にある本は私にとってとても大切だ。
特に決まったジャンルと言うものはないのだが、30代を超えてからはエッセイやノンフィクション等、その時の自分に合った内容の物を読むことが増えた。
20代までは、ミヒャエル・エンデの「ネバー・エンディング・ストーリー」のようなファンタジーが多かった。
今もそのジャンルが好きな事に変わりはないが、内容は変わった。
そこに出てくる主人公は、必ず家の切り盛りをしているか、仕事を持っている。
我ながらこの選択にはうんざりする。
本を読む事は私にとって外す事の出来ない娯楽であり、非日常の世界に旅をするための手段なのだ。
これを一人遊びと言う事もあるし、現実逃避と言う事もあるだろう。
だが、エッセイで私と同じような失敗をして自己否定をされると、せっかく旅行に行っても、近所と同じような景色が広がっているのを見るのと似ていて、がっかりするのだ。
それにも拘らず、エッセイやノンフィクションを選んでしまうのは何故だろう。
その理由は明白だ。
私はその作家の方に興味を持っているけれど、お近づきになった事がないから、読んでいるのだ。
その時興味を持った内容は自分の日常に良くある話が多いが、淡々と書かれている。
それに、一見平凡なテーマだから「あるある話」が多いのかと思ったら、必ずしもそうではない。少なくとも、作家がその本で発表する時は、自分の中で事実を肯定している。
それだけでも普通の人間にとっては「あるある」の状態ではないに違いないが、それを敢えてさらけ出してくれる。
私にとっては、作家の方々がそうしてくれるのはとても心強い話なのだ。
他のジャンルも好きだが、エッセイを良く読んでいるのは、それだけ近しい人間がいない為だと思う。
自分の存在を、失敗を含めて肯定してくれる人が、この世にどのくらいいるだろう。
自分の失敗を話す事が出来るのは、お互いに胸襟を開いて話し合える存在だからだ。
近年、友人との付き合いが減った私としては、作家の日常に「あるある話」が書いてあると、本当に嬉しい。
そんな暇があったら、友人に連絡をとった方が良いという人がいるかもしれない。
エッセイだけではなく、作家の方々は人間同士を結ぶために情報提供をして、後押ししてくれている。
エッセイはどんなにご自分が駄目な状態だと思っても、発表が可能な限りは書いて欲しい。
それが私の希望だ。
margherita 東京ショールーム
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