本棚には、硝子戸のある本棚と、戸がない本棚があります。その中にある本は持ち主にとっては異なる意味を持つかもしれません。
油絵と美術鑑賞が趣味の私は、若い頃から東京をはじめとする各地で開かれる美術展をたくさん見てきました。そのたびに図版を購入するので、とても専門的な内容の、厚い図版集がたくさん本棚に入っています。これらは、その時にしか手に入らない宝物なので、ガラス戸のある本棚に収納しています。普段は滅多に開けることがない扉ですが、永久保存と言ってもいいスタンスで保管をしています。
それに対して、美術関係の毎月郵送される小さな雑誌や、シッカリした特集の月刊雑誌なども、なかなか貴重なものばかりで、それらも全て保存しています。
これら雑誌や月刊誌などは、長年にわたるので、思いのほか大量に増えてしまいます。日々の生活で、リビングやベッドなどでも日常的に見る生活なので、出し入れがしやすい扉のない安価な本棚に収納しています。量が増え続け、本棚が増えて困るので、家族からは選別して古本屋に売るようにと、なんども促され、実際にそうしようと試みたこともありますが、結局全く捨てられませんでした。
処分できない本や雑誌は、結局、持ち主にとっては、それだけの価値があるからだと結論が出てからは、どのように収納するかという工夫を考えました。
そして、家の改築時に、ついに書斎を作ることになりました。普通の家なので、書斎と言っても、立派なものは作れませんが、書庫というスタンスに、読書スペースを付け足したようなプランにしました。
書庫は作りつけのたくさんの棚が並ぶ形なので、増え続ける雑誌や月刊誌は全てそこに収納しました。しかし、もともとガラス戸の本棚に入っている本は、そのままの本棚での収納です。思えば、何十年も昔からずっとガラス戸に収まっている図版たちは、この先もずっとガラス戸の中で眠りながら保存という形になります。
勿論、図版は、時には出して見ることもありますが、いずれは図書館に寄贈か、趣味のある知人に譲る予定です。それまで宝物の名画の図版は、ずっと硝子戸の本棚の中で、時を越えるように眠っています。
margherita 東京ショールーム
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