読んだ本が日記なら、本棚は日記帳

数えてみたら、本棚が九本ありました。
三部屋にわけで九本置いた本棚は全て前後スライド式。
かつて見境無く本を買っていたら、すぐに本棚から本があふれて、一年に一本のペースで本棚を買い足して九本まで来たところでさすがに控えるようになりました。
いまは九本ですが、帰省先にも同じくらいの本棚があります。
大学の研究者でもなく、作家でもないのに、そんなにたくさん本棚を持ってどうするのかといいますと、捨てられないからにほかなりません。本を捨てられない。slf_voice24_01_thumb
中学二年の夏から突然人が変わったように本を読むことに目覚めたのは、今からおもえば思春期だったからかもしれません。子ども子どもした子どもから、少し大人に変わりかけたときに、読書にめざめて本を読み漁るようになったのはいいのですが、やがてそれが度を越します。
最初は、うちの子も遊んでばかりでなく、本を読むようになったかと両親もよろこびました。
しかし誕生日のプレゼントになにがほしい?という問いに、本棚がほしいと答えたころから、ちょっと不安に思いはじめたようです。
本棚を買ってもらったのをいいことに、本の数が増えていきます、増えるというより増殖していきます。本棚から本があふれ、床に並び、床を埋め、これは尋常ではないと思ったときにはもう遅い。
やがて本棚が一本、また一本と増えだして、二階に置いていたせいで、二階の床がさがりました。一階の天井がさがって、ドアの開け閉めがスムーズに行かなくなったのです。
さすがにこれ以上は増やすなということになったのですが、タイミングよく、就職をして実家を出ましたので、相変らず本を買い、bsl-01_voice02_05本棚を買い足します。
本棚に並ぶ本はいつどこで買ったもの、読んだときの思い出もあって、私の日記のようなものです。買った本が日記なら、本棚はその日記帳といったところでしょうか。
日記帳ですから、他人には見せません。
読み返すことも少なくなったけれど、ふと気の向いたときに、ぱらぱらと読み返す。本棚から本を抜き出すのは、そんな感じです。
本を捨てろ、本棚を減らせ、とよく言われますが、それでは自分の過去を捨て去るかのようです。それはできない相談です。本棚をなくすことは到底できるものではありません。

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