本棚に並ぶ書籍の意義

 電子書籍の登場により、重い本を何冊も持たないで済むようになるし、本によって場所を占有されなくて済む。物理的な問題をのみ取り上げるならば電子書籍の有用性は確かなものだ。

では本を本として読みたいという個人の嗜好を除くならば、書籍として本棚に納める意義はなんだろうか。

私は上述した問題は必ずしも問題ではないと思う。

電子書籍における利点は冒頭で述べた通りであるが、それは物理的な制限に関してに過ぎない。

書籍の占有に関して対処しようとするならば内容の取捨選択がなされ、一度読んで、または何度も読み返すような面白かった本は目に付くところに並ぶようになり、逆に面白くなかった本はどんどん下の段に移っていったり、下手をすれば売られてしまうこともあり得る。その結果として本棚には持ち主にとって有用な、または好みの書籍が厳選されるはずだ。

本棚にあるのはこれまでに読んだ、興味を持った内容であり、またはこれから読もうとしている興味のある内容である。すなわち自身の好奇心が実態をもってそこに存在するのであり、自分の好み・関心が本棚に反映されると言ってもいいだろう。

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電子であれ書籍であれ、同じ内容であれば得られる知識という結果に差はないだろう。

では何が異なるのかと言えば過程だ。

電子図書であれば本を購入し読み終われば、容量の問題で限界はあるだろうが、本のデータは溜めっ放しになるのではないだろうか。

特定の読みたい本があればそれを検索して読む。そこに広がりはないように思う。

厳選され淘汰された本棚には、持ち主の個性が反映された独特の”味わい”が生まれる。

読みたい本を探す時に隣に並ぶまるで異なる本が目に入り読んでしまったりなど、

それはただ買った本を並べておくだけでは得られないものではないだろうか。

何冊分もの内容を手軽に持ち運び出きる電子書籍の利点を否定するつもりはないが、

自分だけの個性的な本棚を持つことは自分自身を把握し、内面を豊かにする助けになりうると思う。

それは知識を得るだけに止まらない利点ではないだろうか。

margherita 東京ショールーム

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