本棚を眺める

本棚というのは面白いもので、たとえ少ししか本が並べられていなくても、感情や知識、記憶が詰まっている。

時間を持て余しているとき、忙しくて何から手をつけて良いか分からないようなとき、どんなときでも、自分の本棚を一分間、眺めて見ると良い。

暇なときであれば、久しぶりに手に取った本を開いて数行読んで見る。それが好きだった小説家の本であれば、好きという気持ちを思い出して、懐かしく、切ない気持ちになる。数ページ読み進んでみると、あれ、こんな作品だったかな、こんなこと書いてあったかな、という発見がある。ちょっとした表現が新たに気に入ることもある。読み返してみて、つまらない作品だな、と思うのであれば、当時からあなたが変化したのだろう。小説以外の本でも、きっと何かを思い出し、発見することはあろう。古い雑誌の懐かしさや、昔の参考書でも、地図帳でも、何もしなければ得られない感情や感想が得られるはずだ。この本は今の自分には不要だと思い、処分するかもしれない。それは時間が経過したことであり、その分、環境も変わり、成長したのだ。

slf_voice37_07忙しくて、焦っているようなときも、一分間、本棚を眺めてみると、不思議と落ち着く。一分間は意外と長い。背表紙を眺めているだけでも、背表紙の色や、タイトルのフォント、文字の配置、作者名、出版社、紙質、あらゆる情報が詰まっている。本のタイトルは何故これなのだろう、この出版社はなぜこのような色を選んだのだろう、このフォントは見やすいのだろうか、文庫本なら、文字と数字の分類は、どのような規則性があるのだろう。本が作られる工程の労力、あるいは知恵、人数、時間を想像してみると、果てしない。時間は誰にでも平等に同じようにしか進んでいないのに、あなたはひとりだけたくさんの時間を操ることができるなどという錯覚に陥っていなかっただろうか。焦るのをやめ、まずは数行でも何か読んで、頭の中に豊かな感情を取り入れてみて、それから作業に取り掛かってみたら、きっと効率がよい。

margherita 東京ショールーム

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