本と本棚がもたらしてくれるもの

本はいい。

たった一度しかない、この世に一人しかいない自分に、何度も人生を体験させてくれ、何人もの生き様を知らしめてくれる。

本棚もいい。

読んでしまった本も、まだ読んでいない本も、本棚に綺麗にぎっしりと並んでいたり、綺麗に並べてもどうしても空いてしまうスペースに、無造作に積まれているのを見たときには嬉しくなる。

それはまだまだ経験したことのない出来事を想像とはいえ運んできてくれるからなのか、はたまた単純に面白くて充実した時間を過ごすことができるのがわかっているからなのか。

本屋へ足を向けるたびに、新しい本が2〜3冊はかならず増えてしまう。

まだ読んでいない本が何十冊とあるにも関わらずだ。

本屋が近くにある、というのもその原因だ。

本棚に収納するスペースがなくなれば、新しい本棚を購入することになる。

そしてまた空いたスペース用に、本を購入してしまう。

悪循環だとはわかっていても、新しい本を求めて止まない。

書かれていることや書かれた時代はもう昔のものなのに、どうしてこうも心惹かれるのか。

そして一番の困りごとが、本棚から取り出したり、また閉まったりするのが、一定の何冊かの本に限定されている、ということだ。

本棚にふと目をやれば、まだまだ読んでいない本がたくさんある。

それこそ、読んだ本の10倍以上は!slf-lr_voice05_03

にもかかわらずどうしてもう何度も何度も読んだ本に手をやるのか。

自分でも困ったものだと思いながら、きっと次に本棚に目を向けたときも、新品で買ったにもかかわらずもうほとんどボロボロで色褪せてしまった本を手に取るのだろう。

新しい本と新しい本棚に悪い気がして仕方ないときは、そちらに手を伸ばすときもある。

そんなときに思うのが、本棚の役割について、だ。

本の数だけの物語をその手中に収めている本棚が、羨ましく思うときでさえある。

こんな風に、常に自分の中に何十もの物語を置いておくことが出来たなら、どんなに楽しいのだろうかと。

横にいくつか並んだ本棚の上に、また本棚が積まれていく。

それとは別の場所にも本棚があって、たまに機会があって見てみると、どんな経緯でそこにあるのかなんて完全に忘れているのに、思わぬ宝物に遭遇するときもある。

でもおそらく、この世に存在するであろう本の、何万、何千万、何億万分の一にも満たない数しかここにはないんだろう。

それでもそんな本と、それを収納しているこの本棚が、私の人生と共に体験を共有してくれるのだ。

margherita 東京ショールーム

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