新しい本棚で「自分だけの古典」をつくる

数年前まで「小学校教師」をしていた関係で、教育関係の専門書や各教科に関する本、資料として使えそうな写真集などがずらりと本棚に並んでいました。あまりにもその量が多かったのと、妻が同業者という事で「妻の本」も置くようにしなければならなかったので、新しい家を建てた時には「納屋」となるはずの部屋が「私の仕事部屋兼図書室」のようなものになりました。

 また、その部屋には天井裏のような「ロフト」が付いていたので、そちらにもカラーボックスを置いて、文庫本や新書などを並べていました。

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 数年前に「鬱」と診断されることになってしまいました。休職・復職を繰り返した結果、結局「自主退職」することを決め、その後の収入は妻に任せて私は「専業主夫」というか「家事手伝いと」言うか・・・と言うような生活を続けています。

 仕事をしなくなったという事で今まで以上にいろいろな本を読むようになりました。と言っても収入はないので、いつも近くの古本を扱うチェーン店へ行き、「一冊100円コーナー」を端から端まで歩いて、面白そうな掘り出し物を見つけて読んでいました。

 そうこうしているうちに読んだ本も増えてきたし、「ロフト」に置いてある本の中で「もう一度読んでみたい」と思える本も増えてきました。そこで、今おいてある専門書を片付けるのは面倒くさいので、専門書の前に今まで読んだ文庫本や「ロフト」から降ろしてきた本を並べていくことにしました。

 都合のいい事に、置いていた本棚が比較的深い棚になっていたので、専門書の前にも文庫本を置けるだけのスペースは十分あり、たくさんの本を並べることができました。

 で、並べてみて背表紙を見ていると、「この本はどんな本だったのだろうか」と内容をすっかり忘れてしまっている本がたくさんあることに気が付きました。読み始めるとなんとなく記憶に残っていることがわかってくるのです。それでも途中で飽きたりすることはなく、最後まで楽しく読み終えることができることに気が付きました。

 そうやって「昔さっさと読んでしまっていた本」をもう一度並べてみる事で、「もう一度読み返す」ことができるようになりました。すると、「若い頃にはわからなかった登場人物の想い」なども少しは分るようになったのか、二度目の読書でも十分楽しめるという事がわかりました。そうこうしているうちに、「お気に入りの文章」にも出会い、ずっとベッドの枕元に持って行って、「いつでも寝る前に少しだけ読む」というような本もできてきました。

 こうやって読み返しているうちにきっと「自分だけの古典」と言うものができてくるのだろうなぁと思いながら、今日も本の背表紙を見ながら過ごす時間を楽しみにしています。

margherita 東京ショールーム

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