かつて、住居の中に書籍がぎっしり詰まった書棚のある書斎は大人の憧れの一つでした。書斎が持てなくても書棚に囲まれた自分のスペースを欲しいと思う人は沢山いたものです。
しかし、いつの時代からかそうした人が徐々に減って来た様に思います。漫画を愛読する人は多くても、小説や様々な書籍を読む人が減少して来たからでしょう。
調べものならネットで何でもできるから、書籍の必要性が少なくなったと言う人も居ます。百科事典の代わりに何かを調べる事は、確かにネットで代用できるかもしれません。
しかし、本来書籍は、断片的な知識を得るためのものではなく、色々な分野を体系的に学ぶためであったり、様々な書籍を読む事で教養や知恵を得るためのものなのです。
これはネットで調べる事では代用できず、書籍を深く、広く読み込む事で初めて得られるものなのです。コツコツと読んだ書籍が書棚に並んでいる様子は、まさに自分自身の知の歴史を示すものなのです。
何かに行き詰まり、ボンヤリと書棚に並んだ書籍の背表紙を眺めていたりする時、ふとかつて読んだ書籍の中にヒントがあった事を思い出したり、書籍の中に記されていた言葉を思い起こし、励まされたりする事もあります。
最近では、書籍を読むにしても、電子ブックにダウンロードして読めばよいと言う声も聞きます。それも1つの方法ですが、新刊書以外は入手しにくく、本屋さんや古本屋さんで、思わぬ書籍と出会うと言った本好きにはたまらない経験ができません。更に、本棚に並んだ多くの書籍に囲まれて深く考えると言った事もできません。
幼い頃には絵本が好きであった子供も、成長するにつれて次第に書籍から遠ざかるのは、いかにももったいない事です。書籍の並んだスペースで父親が読書する姿は、子供にも本に対する興味を持ち続けさせ、知的好奇心の旺盛な大人になる助けとなるでしょう。
仏壇のある家庭に育った子供は先祖を敬い、優しい大人に育つと言われるのと同様に、書籍の詰まった書棚のある家庭で育てば、書籍が好きで知を追い求める大人に育つと言ったところでしょう。
書籍を読み、人間性や知恵を磨き、その人生の知の歴史を書棚に並べることで、あなたももっと人生を豊かにしてみませんか。
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